希望の党の代表だった小池百合子氏。今回の衆院選では「排除いたします」という発言が敗因になったといわれる。こうしたシンプルで短い言葉はSNSで広がりやすい。そしてSNSには「そんなつもりじゃなかった」という形で、言葉が一人歩きしてしまうリスクがある――。
写真=ロイター/アフロ)

本物とフェイク、ひと言の意味を読む

SNSにはさまざまな情報があふれるが、どこまで信頼できるのか、本来の意味はなんだったのか、判断に迷うことはないだろうか。

スタンフォード大学の研究者らが、全米12州中・高・大学の合計7804人の学生を対象に、オンラインにあふれる情報をどのように受け取っているかを調査した。その結果、高校生の75%は、フェイスブックなどSNSでシェアされた報道のニュースと、ニュースサイトを模倣したフェイクニュースを見分けることができなかったという。さらに30%は「フェイクニュースのアカウントのほうが信用できる印象だった」としている。

その情報が本当に信用できるのか、あるいは事実だとしても、あるひと言だけが切り出されて文脈を失い、本来の意味を歪曲されているのか……。その見分けは、難しいものだ。

そういえば長崎市に原爆が投下されてから70年目となる2015年8月9日に、ディズニー・ジャパンの公式アカウントが「なんでもない日おめでとう」とツイートをして、物議をかもしたことがあった。

※初出時の内容に誤りがあったため、上記段落を修正しました(2017/11/24追記)。

もちろんニュースなどではなく、ただ、「不思議の国アリス」のお茶会のシーンから“364日お誕生日ではない日を祝う”というセリフを抜き出したもの。奇妙なストーリーが魅力のアリスの世界では、ちょっとした名場面と名台詞のひとつだ。

ところが、物語の文脈をなくした「なんでもない日おめでとう」のフレーズは、多くの人に不謹慎に映ってしまった。ツイートはあくまでもアリスの世界の話だったとしても、文脈を失ったフレーズに、読み手が自分の日常の中で文脈を見つけてあてはめたのだ。

言葉の意味とは、文脈があってはじめて成り立つもの。これは、SNSで切り取られたひと言が、読み手の自由な解釈のもと本人の意図をはずれ、別の意味に受け取られながら広まった例だった。

例えば、先日の総選挙で、希望の党の代表だった小池百合子さんが、旧民進党出身のリベラル派に対して「排除いたします」とした言葉では、文脈はどうだったのだろうか。