本も雑誌と同じで「飛ばし読み」OK

本格的に速読術の必要性を感じたのは、英国への留学時代だ。レポートを書くため大量の英語文献を読むことになり、クラスメートから飛ばし読みでキーワードを拾って内容を把握する「スキミング」という読書法を教わった。そこから速読術に関心を抱き、英語の解説書で独習したが自己流では習得が難しく、日本に帰国後、フォトリーディングの国内第一人者として知られる山口佐貴子氏が主催する2日間の講座を受講した。

「山口先生の講座では、自己流ではうまくいかなかった『みかん集中法』や、視点をダブらせて映像的にキーワードを拾う方法を、ていねいに指導していただきました。現在は、そこで学んだ技術のエッセンスを使って、概ね1日1冊のペースで読書を続けています」

世間の多くの人は、「本は一字一句飛ばさず、頭からきちんと読むもの」と考えている。「その思い込みを外すことが、フォトリーディングの第一歩です」と久保田教授。

「私も当初は、本の飛ばし読みに抵抗感や罪悪感を覚えていました(笑)。しかし新聞や雑誌は、自分の興味がある記事だけを、飛ばし読みしますよね。ストーリーを楽しむ小説は別として、自分にとって必要な情報収集が目的なら、本も飛ばし読みしていいんです」

筋トレやスポーツと同じ

フォトリーディングとは、その「自分にとって必要な情報」を見つける方法を、飛躍的にスピードアップする技術だと久保田教授は語る。具体的な方法としては、まず本の目次に目を通し、面白そうな章や見出しをチェックする。どこを重点的に読むか優先順位が決まれば、いきなりそこから読み始めても構わない。だいたい2秒に1回のペースでページをめくり、自分が欲している情報を「ダウンロードするように」インプットしていく。「筋トレやスポーツと同じで、速読も慣れです。ふつうのビジネス書であれば、誰でも概ね1時間で1冊読めるようになります」。

久保田教授はフォトリーディングについて「とっつきにくい難解な本や、仕事で仕方なく読まねばならない本ほど、その効果が高い」と言う。そして「少し前の調査ですが、日本人の20代、30代のビジネスパーソンが1年間に読んだビジネス書は、平均3.1冊だったそうです。ということは、1年に4冊読むだけで、平均を上回る自己啓発ができることになるのです」。