今年9月、経済協力開発機構(OECD)が加盟33カ国の教育費の公的支出割合を発表した。日本は下から2番目の32位だったが、家庭の私費負担を合わせれば平均を上回るという。つまり公立学校では不十分なため、多くの家庭が子供を塾に通わせているのだ。予備校大手ナガセの永瀬昭幸社長は、こうした教育費の負担が少子化の原因として、「すべての第3子に『1000万円』を支給せよ」と訴える――。
ナガセ 社長 永瀬昭幸氏

東進がはじめた実践的英語学習

この夏、東進ハイスクールでは英米TOP20の名門大学生約100名を指導者として招いて、「グローバル・イングリッシュキャンプ」を全国各地で実施しました。

参加したのは約1500名の高校生で、この5日間は日本語禁止。スピーキング・エクササイズに始まり、1日目の終わりからはグループディスカッションを繰り返します。

今年のテーマは、例えば、東京オリンピック・パラリンピックの精神やホスト国への様々な影響、そしてその成功にどのように貢献できるか。また、国連の17項目からなる持続可能な開発目標から1項目選び、その解決策を考える。など日本語でも難しいと思える課題について、英語でディスカッションし、その内容をまとめ、プレゼンテーションします。

そして最終日にはMy Life Missionと題して、自分の将来の夢や志について皆の前で堂々とスピーチして締めくくるというプログラムです。わずか5日間ではありますが、生徒たちに自信が生まれ、英語に対する意識そのものが大きく変化することを確認できるイベントです。

予備校のイメージとは異なる教育

この活動は、教室に集まった生徒に対して講師が一方的に受験のテクニックを効率よく伝えるという一般的な予備校のイメージとは異なるものだと思います。私どもは「独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する」という教育目標のもと、飛躍的な学力向上と志望校合格の実現はもちろん、将来、社会で大活躍するために必要な人間力を育む指導を行っています。

今回の「グローバル・イングリッシュキャンプ」は、世界の舞台で活躍するために不可欠な英語スピーキング力を早期から鍛えるために、2年前からスタートさせたもので、年々規模が拡大しています。

これは私どもの東進の指導の一例にすぎません。東進と言うと、現代文の林修先生をはじめとする実力講師陣の授業をイメージされる方が多いと思いますが、授業は学力を伸ばすための手段のひとつです。

「人間7分、学力3分」と「郷中教育」

東進の教育力の源泉は、受験の神様と呼ばれた故・入江伸先生が提唱した「人間7分、学力3分」という教えです。将来、大活躍する人財になるためには、学力だけではだめで、人間力が最も重要であるということです。私どもは、人間力を高めるための様々な取り組みを行っていますが、重要なのは「自分の人生をどう生きるのか」、「何のために勉強するのか」という問いに自分なりの答を見つけることです。そのために、生徒には志作文を書いてもらい、自分の将来の夢・志を深めるきっかけにしてもらっています。やる気の源となる夢・志が固まれば、自然と勉強に対するモチベーションも高まるものです。