また「政治は論理と感情の組み合わせで動く。パフォーマンスに優れた小池氏が民進党をのみ込むことで選挙構図は流動化したが、1週間で初期のダイナミズムがそがれたのは否めない。小池氏の国政復帰を求める声が少ないのはその表れだろう」とも書く。

沙鴎一歩はこの論調にも違和感を抱く。なぜなら、小池氏にどれだけの有権者が期待しているは選挙結果を見てみないと分からないからである。

「政策本位の野党再編につながるなら悪くない」

この毎日社説とは逆に、10月3日付の日経新聞の社説は、民主党の分裂の事情を偏ることなく、分かりやすく解説し、「政策本位の野党再編であれば悪くない」(見出し)と主張している。沙鴎一歩はこれには賛成である。

日経社説は「民進党が保守系とリベラル系に分裂した。希望の党への合流を巡り、排除された枝野幸男代表代行らが新党結成へと動き出した。衆院選目前のドタバタ劇にはあきれるが、結果として政策本位の野党再編につながるならば必ずしも悪い話ではない」と書き出す。

その後は民進党の簡単な“歴史”である。いまの政局を考えるうえで参考になる内容なので、以下に引いておきたい。

「民進党の前身の民主党は1996年、保守系の新党さきがけとリベラル系の社民党の出身者によって生まれた。自民党出身者らもなだれ込み、この20年あまり、終始一貫して『寄り合い所帯』の感があった」
「憲法や外交・安保などの政策課題で党内に常にあつれきがあり、協議をしても結論を先送りすることが多かった」
「民進党の近年の支持率が低空飛行を続けてきたのは、有権者がこうした体質に嫌気がさしていたからだ。リベラル系の離脱によってようやくすっきりしたといってよいだろう」

「政党交付金」はすべて国民の税金だ

日経社説は後半で「今回の衆院選は保守系の自民・公明、希望・維新、リベラル系の民主・共産の三つどもえになることがほぼ確定した。選択の構図がくっきりし、有権者は投票しやすくなった。各党がおのおのの立ち位置から活発な政策論争を戦わせてほしい」と書く。

繰り返すが、選挙の構図を分かりやすく塗り替えたのは小池氏の「排除の論理」の成果である。有権者社このことを忘れずに選挙に臨んでもらいたい。

日経社説は最後に「消えゆく民進党に注文がある」と書く。なんだろかと思って読み進めていくと、「わかれるからには、政党助成法の規定に沿い、きちんと分党手続きをすべきである」と指摘する。