端的に言うと多くの男性は、自分がなぜ不機嫌になっているのか、その理由が「わからない」のです。「不機嫌になった理由を説明しない理由」もここに起因していて、「わからない」ことは説明できないわけです。先に述べたように、女性は「男の人も感情やその理由を言語化できる(しようとする)はずだ」と考えがちですが、それは的外れな期待かもしれません。

しかし、ここは少しややこしいのですが、「不機嫌な感情になること」と、「不機嫌な感情を態度に表すこと」は、よく考えると異なる次元にあります。そして、「不機嫌な感情」の理由は多様で捉えどころがありませんが、「不機嫌な態度」の理由はひとつしかありません。

不機嫌になる=便利な手段

多くの男性が簡単に「不機嫌な態度」を取る理由。それは、「不機嫌な態度」を取ることが自分たちにとって“便利な手段”だからです。

不機嫌になれば要望が通るし、プライドが保てるし、相手が自分に合わせてくれる。そのため問題と向き合わずに済み、体裁を取り繕うためのコストもかからない──。そういう都合のいいことを経験的に知っているため、「なんかムカつく」「なんか不満」「なんかイライラする」といった“言語化できないネガティブな感情”に陥ったとき、男性は不機嫌になるという便利な手段を多用するのです。

『生き抜くための恋愛相談』より。

これは赤ちゃんが、お腹が空いたときやおむつが汚れているときに泣いて訴えるのと似ています。もちろん赤ちゃんとは異なり、不機嫌になったところで母親がその原因を取り除いてくれるわけではないのですが……。

そんな赤ちゃんのような男性を目の前にした場合、女性はどう対処していけばよいのでしょうか。洋子さんのように、「機嫌が悪いかどうかたずねる」ことは、泣いている赤ちゃんをあやす母親的態度と言えます。それに対する〈別に悪くねーよ〉という彼氏の返答は、まさに赤ちゃん的態度で同じ男性として死にたくなってきますが……いつまでもこのようなやり取りを続けても、洋子さんが先に進めないことは明らかです。では、どうすればよいか。