お金の問題に直面したとき、「専門家」への相談を考える人は多いだろう。その場合、金融機関などの「お金の無料相談」に出向くのは最悪の選択肢だという。なぜなのか。経済評論家の山崎元さんが実際あった危険なケースを元に、正しい相談先と正しい運用方法を伝授する――。

※以下は山崎元『マンガで解説!将来、お金に困らない方法を教えてください!』(プレジデント社)のコラム部分から抜粋、再構成したものです。

「最悪の相談先」は、身近な金融機関だった!

お金の問題に直面した時に、専門家に相談したくなる場合もあるでしょう。こうした場合に最も良くないのは、銀行・証券会社・保険会社などの金融機関に相談することなのです。こうした金融機関での相談は、多くの場合「無料」ですし、名前の通った会社のサービスだという安心感があります。加えて多くの場合顧客への対応は親切・丁寧です。つい気軽に、そして気持ちよく利用しがちになるのですが、そこに落とし穴があります。

「山崎先生、将来、お金に困らない方法を教えてください」(プレジデント社)

金融マンは、お客さまに儲けさせるプロではなく、自分の会社(ひいては自分)が儲けるためにお客さまを動かすプロフェッショナルなのです。露骨に言うなら、「手数料稼ぎ」のプロです。そして、もちろん、プロの力量を甘く見てはいけません。お客さまの側では、プロが繰り出す「ご提案」のどこに問題があるのかを即座にかつ正確にダメ出しすることは不可能でしょうし、相手が、親切・熱心・真面目そう、などと思う心から「少しは付き合わないと申し訳ない」という気持ちになって、手数料の高い商品(100%ダメな商品です)を購入してしまうパターンに陥りがちです。

それでは、金融機関の窓口に相談してはいけないとなると、誰に相談するといいのでしょうか。FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談したらいいのではないかと思った方は、幾らか正解に近づいています。しかし、それだけでは、安心ではありません。実は、FPには二種類あります。筆者の表現では、「販売系FP」と「非販売系FP」の二通りです。

「販売系FP」とは、生命保険の代理店を兼営していたり、証券仲介業のビジネスをしていたり、あるいは不動産の購入や投資を紹介して不動産会社から謝礼金を受け取ったりしている、商品の販売に関わることによって自分も経済的に潤うFPのことです。こうしたFPのアドバイスは、どうしても、自分が販売したい商品の購入に傾きがちになることはご想像いただけるでしょう。まさに、その通りなのです!