全国に約100支社を展開する日本生命保険。藤井美千子さんは、同社で3人だけという「女性支社次長」だ。藤井さんが宇都宮支社の次長となったのは昨春のこと。「支社初」という女性次長に対し、「最初は周囲の雰囲気も興味津々という感じでした」という。カブトガニの研究者から営業現場に転進した藤井さんが、キャリアを重ねるうえで大切にしてきたこととは――。
藤井美千子●日本生命保険相互会社 宇都宮支社 支社次長。1997年、日本生命保険相互会社に入社。博多を振り出しに、大阪、静岡、東京などに赴任。2012年に管理職として千葉支社、14年に総務部東京総務グループを経て、16年3月に現職。

全国に約100支社を展開する日本生命保険の中で、藤井美千子さんは数少ない女性の支社次長だ。宇都宮支社の同職に就いたのは昨春。現在、彼女を含めて同ポストを務める女性はわずか3人である。

生命保険会社の営業・事務職はほとんどが女性だが、支社長や次長、人材育成や営業を統括する管理職には、男性社員が就任することが常だった。

宇都宮支社でも次長職に女性が就くのは初めてで、「最初は周囲の雰囲気も興味津々という感じでした」と藤井さんは振り返る。

「当社では、それこそ創業から100年以上にわたって、ほとんどの支社で男性は管理職、女性は営業か事務でした。ですから、部下たちにしてみれば『えっ、今度の次長は女性?』となります。私自身はあまり意識していませんでしたが、私を受け入れるみんなのほうは緊張していたようです」

Essential Item●ペンと手帳カバーは部下からの贈り物。腕時計はエルメス。リフレッシュ休暇で行ったハワイで購入した。

支社次長は、支社の運営全般を取り仕切る立場にある。支社・営業部の運営経費や事務職の人事管理、保険の新規契約がきちんとルールにのっとって行われているか、社内監査から苦情対応まで、滞りなく仕事が進められているかどうかを管理する。支社長が不在の際は、その代理を務めるポストでもある。

「私が仕事のうえでいつも考えるようにしているのは、とても単純なことなんです」と彼女は言う。