女性の働き方をめぐる状況が、どんどん変化しつつあります。2016年には「女性活躍推進法」が施行されました。しかし、こうした変化は本物なのでしょうか。男女雇用機会均等法の誕生にかかわり、自身も60代から資生堂の副社長としてキャリアチェンジを果たした岩田喜美枝さんに、その内実を聞きました。聞き手はジャーナリストの中野円佳さんです。

企業の女性活躍、10年後には変わっているでしょうか?

▼若い世代が育って管理職になっているはず

女性が活躍するうえで、企業は2つのことをすべきです。

公益財団法人 21世紀職業財団会長 岩田喜美枝さん

1つ目は育児期に仕事を続けられるようにすること。2つ目は、女性が実力をつけてそれを公平に評価し、結果として登用されていくようにすること。前者については、次世代育成支援対策推進法で、大手企業の両立支援策が拡充しました。後者には時間がかかります。ただ20代から30代までの女性は辞めなくなったので、10年後には力がついて管理職になり始めるでしょう。

企業は女性活躍に取り組んできて、すでに気がついています。それは、女性活躍だけにターゲットを絞っても問題は解決しないということです。

正社員は何時間でも働けて、辞令一本で転勤できるという前提では、やはり女性は活躍しにくいのです。だから女性活躍と働き方改革は、結局は同じこと。

長時間労働は、高度経済成長期に生まれたものです。専業主婦世帯がスタンダードになり、男性が仕事に時間を割いて量的に働けば、会社も成長する。この要件は変わっているのに、当時の働き方の常識が変わらないことは問題です。そこが変われば、自然に女性は活躍します。

▼均等法施行から30年。女性活躍はこう変わってきた!
人権→労働力不足を補う→成長戦略(いまはここ)