世代で決めつけることはできないが……

私は、世代論はあまり好きではない。

「ゆとり世代」などの言葉で一括りにしてしまうと、その中にあるさまざまな個性や多様性が見えなくなってしまうと感じる。

また、年齢で人の生き方や考え方が決まるとも思わない。現代においては、何歳になっても若々しい人たちもいるし、子どもでも、大人顔負けの知識やスキルを持っていることも多い。

世代だけで人を決めつけることはできない、ということを前提にしたうえで、最近気づいたことを以下に書きたい。もちろん、これは1つの「傾向」であって、みんながそうだとは限らない、ということをお断りしておく。

「絶好調」という経験がない

“バブル世代”におなじみのディスコ、ジュリアナ東京。(AFLO=写真)

10代、20代の学生や若い社会人と話していて、「ああ、そうか」と気づいたことがあった。彼らは、生まれて以来日本が「調子がよかった」ことがない。バブルが崩壊して以来、経済が絶好調だった、という経験がない。

そのこともあって、日本の現状が否定的に語られることに対して、ある種の「拒否反応」のような心理を抱いている。日本の現状をやたらと否定する人のことを、論の当否は別として「クレーマー」のように感じている。このような「感性」を前提にしないといろいろなことが理解できないと気づいたのである。

考えてみれば、子どもの頃から「おまえはダメだ、よくない」と言われ続けたら、やる気をなくしてしまう。そんなことを言う大人に対して、「もういい加減にしてくれ」「聞き飽きた」という気持ちになるのは当然のことだろう。

日本の肯定から始めたいという気分が、10代、20代の若者の間にあるように思う。日本の問題点を指摘するよりも、何かもっと前向きで、建設的な提案を待望するという思いが強いようなのである。