「ふるさと納税」の寄附額がまた過去最高を更新した。総務省の発表によると、昨年度の総額は約2844億円で、前の年度の約1.7倍に増えた。「返礼品競争」が過熱する一方で、全国に3つだけ「受入額0円」という自治体がある。プレジデントオンラインでは、今回、総務省の発表をもとに「ふるさと納税受入額ランキング ワースト500」を作成した。寄附を集めそこなっている自治体の言い分とは――。

総務省はすべての地方団体(都道府県47団体、市区町村1741団体)を対象に、毎年、ふるさと納税の直近の実績を調べている。7月4日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」によれば、2016年度のふるさと納税受入額の全国合計は約2844億円で、前年度(約1652億円)の約1.7倍となり、過去最高を更新した。

ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄附を行うと、寄附額のうち2000円を越える部分について、収入などで決まる限度内の全額が控除される制度で、08年に始まった。その後、15年からは控除額が2倍になり、さらに確定申告を行わずに控除が受けられる「ワンストップ特例制度」も導入。税収増を目指す地方自治体側から、寄附金額に応じて名産品などを「返礼」としてもらえる仕組みが広く認知され、制度利用者を着実に増やしてきた。

プレジデントオンラインでは、総務省が発表した2016年度(平成28年度)の「各自治体のふるさと納税受入額及び受入件数」に基づいて、全国地方団体のふるさと納税受入額ランキングを作成した。今回は、「ワースト500」を見ていこう。

ワースト1位は「受入0」の3自治体

ランキングを参照するとわかる通り、ワースト1位には「受入額0円・受入件数0件」で3自治体が並んでいる。この3自治体はいずれも返礼品を設けていない。

北海道・泊村は北海道後志総合振興局管内にあり、北海道で唯一の原子力発電所・泊原発を擁している。08年度の制度開始以来、「0件・0円」が続いている理由を問い合わせたところ、「小さい村なもので、返礼品になるものがない。特産品を開発したいと考えているが、全村あげて取り組まないと進まず、遅れている。関係各課で協議をしている段階です」(泊村役場総務課)とのことだった。

同じくワースト1位の東京都・御蔵島村は、伊豆諸島中部に位置する島。人口わずか313名(2015年8月現在)の、自然豊かな村だ。こちらも泊村同様に、「返礼品の開発をしていきたいという話はあるが、まだ実現できていない。海産物が採れるが安定した供給は難しく、人気の食品での返礼は厳しい。木工品やミネラルウォーターなども作っているが、お送りできるような体制まで至っていないのが現状」(御蔵島村役場総務課)だという。