東京大は半数近くがキャリアを辞退

大学通信では毎年、全国の大学に国家公務員の就職者数を聞き取っている。2016年度、国家公務員就職者数の出身大学別ランキングの1位は金沢大学で228人だった。人事院の発表によると、金沢大の総合職試験の合格者は11人(大卒と院卒の合計、以下同)だったので、そのほとんどは一般職として就職したものとみられる。

金沢大は公務員試験対策に力を入れている。大学生協とのタイアップにより対策講座を学内で開いており、受講価格は学外の試験予備校より安く設定している。また就職支援室では、官公庁説明会や公務員ガイダンスなどを頻繁に開催している。こうした手厚いサポートが就職者数トップにつながっていると見られる。

2位は東京大学の222人。人事院によると総合職試験の合格者は433人だったので、合格者の半数近くが公務員とはならず、民間に就職していることになる。「激務薄給」といわれるキャリア官僚を避け、外資系の金融機関やコンサルティング会社を選ぶ東京大生が増えているようだ。

総合職試験の合格者数を見ると、2位は京都大183人、3位は早稲田大133人、4位は慶應義塾大98人、5位は東北大85人となっている。トップ10のうち私立大学は早稲田大、慶應義塾大、中央大(9位)の3校だけ。キャリア官僚については、国立大学が私立大学を圧倒する形になっている。

なお東京大は各省庁の総合職の就職者数を発表している。内訳は、総務省27人、国土交通省26人、経済産業省23人、農林水産省17人などとなっている。昨年、各省庁の採用予定者数のうち東京大の人数は、総務省が49人中27人、経済産業省が43人中23人、外務省が28人中15人、金融庁が18人中10人となっており、これらでは5割以上を占めている。やはり人気省庁では東京大の強さは際立っている。

センター試験の勉強は十分に役立つ

総合、一般、専門の3職種を合計した「国家公務員就職者数」での3位は、山口大の158人。総合職試験の合格者は10人以下だったため人事院の発表にはない。大学通信の調査によると1人が総合職として就職している。

4位は早稲田大の148人。これは私立大学ではトップの数字となる。総合職試験の合格者は133人で、東京大、京都大に続く3位なので、金沢大や山口大とは違い、東京大のように総合職の人数が多いことがうかがえる。5位は中央大、6位は立命館大、7位は広島大、8位は九州大、9位は神戸大、10位は北海道大と同志社大となっている。

ランキングを見ると、国立大の強さが印象的だ。大学入試の時にセンター試験で5教科7科目をしっかり学んできたことが、試験対策に役立っているのではないだろうか。「受験勉強は役に立つのか」などといわれるが、難関の公務員試験に臨むうえでは、十分に役立つようだ。