トップ奪還の洛南!意外に強い公立単独高校

他地域からの志願者の減少により、都市部では地元占有率が高まる大学が多い。早慶など東京の有名私立大では1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の学校出身者が合格者の70%を超えるケースも少なくない。近畿圏でも同様の傾向だ。そうした中、京大の2016年入試における2府4県(大阪、京都、滋賀、兵庫、奈良、和歌山)の学校出身者が合格者に占める割合は50.6%で、東大の55.1%を下回る。

京大合格者数ランキング上位の学校の合格者数を10年前の2006年と比較すると、1位の洛南が32人減、2位の東大寺学園が13人減、8位の甲陽学院が32人減、9位の西大和学園が46人減など、合格者が大幅減の近畿圏の学校が多く、このことにより地元占有率が低くなっているのだ。

近畿圏のトップ校で京大合格者が減少する背景には、医学部志向の強さがある。東京に比べると大企業の本社が少ない関西で、優秀な学生が地元で就職するなら医師。2府4県には、京大や大阪大、神戸大に加え、滋賀医科大や京都府立医科大など医学部を持つ国公立大が8校あることもあり、京大に合格する学力があっても国公立大医学部を目指す受験生が多いのだ。

そうした状況を踏まえながら、京大合格者数ランキングを見ていこう。1位の洛南は15年に西大和学園に抜かれるまで、24年連続でトップだった。同校は06年から女子を受け入れ共学化している。医学部志向が強い女子の入学もあり、16年の国公立大医学部の合格者数は84人で全国3番目の多さ。医学部志向の強まりが京大合格者減の要因になったことは間違いなさそうだ。

15年にトップだった西大和学園は、前年の合格者数を32人下回り9位になった。それでも、1991年に京大合格者が0人だった同校の、難関大合格者実績が急激に伸びた学校としての評価は揺るがない。2位の東大寺学園は昨年と同じ順位。同校も国公立大医学部の合格者が多く、16年は53人で全国9位だった。

東大合格者数ランキングの上位を私立と国立の中高一貫校が独占するのとは対照的に、京大のランキングは3位北野、4位堀川と公立の高校単独校が入る。両校とも自治体のバックアップが合格者増の要因という共通点がある。