見た目と報酬には一定の関連がある
収入は、学歴によって差が生じる。高卒より、大卒・大学院修了など高学歴のほうが高収入だ。しかし、収入に影響を与えるのは決して学歴だけではないだろう。技術力、発想力、リーダーシップ力など、持ち前のスキルによって自らの地位を引き上げ、より高い報酬を手にする人も少なくない。
その引き上げ要素のひとつに、「容姿・外見」も含まれると発表したのは、アメリカのテキサス大学オースティン校の教授、ダニエル・S・ハマーメッシュ氏(労働経済学)である。
教授は人の容姿を5段階に分けた(5が最高、3が平均)。研究結果(計7500人調査)では男性の場合、見た目の印象がいい「5と4」の人は、容姿が平均より劣る「2と1」に比べ、年収が17%上回ったというのである。女性の場合も、12%高いことがわかった。顔、服装、髪形などの見た目が、より印象のいいほうが稼ぎはいい。これは「ビューティ・プレミアム」と呼ばれる。
同教授が、アメリカ以外の国、オーストラリア、カナダ、イギリス、中国(上海)などで実施された同様の調査を確認すると、やはり〈ほとんどの場合、容姿がいいと収入にはプラスの影響があるという結果になっていた〉と、自著(『美貌格差』)で語っている。
東京大学医学部を経て、ハーバード大学院で学んだ予防医学研究者・石川善樹氏は「アメリカでは、他国よりも外見を重視する傾向が強い」と言うものの、見た目と報酬には一定の関連がありそうなのだ。
そこで、前出の「17%差」を日本国内で考えてみると、大卒・大学院修了の男性の場合、生涯年収で「5と4」は「2と1」より、4760万円多いということになる。
労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2012」によれば、大卒・大学院修了の男性は定年までの平均38年間の勤務で計2億8000万円の生涯年収になる。その17%分が、4760万円なのだ。勤続年数は38年間なので、年収では125万円もの割り増しとなる計算。女性の大卒・大学院修了(生涯年収2億4000万円)の「5と4」の人は2880万円多い(年収換算で、75万円高い)。