5月11日、地方自治体の非常勤職員への期末手当の支払いを明記した地方公務員法の改正案が国会で可決された。この数年、地方自治体では「非正規化」が急速に進んでいる。総務省によると、地方自治体職員の3人に1人は「非正規公務員」だという。法改正はこうした現状に対応するものだが、そもそもどれくらいの給与が適正なのだろうか。
プレジデントオンラインでは、今回、総務省が発表した2016年(平成28年)の「地方公務員給与実態調査」に基づいて、自治体ごとの平均年収を推計した。対象は「一般行政職」で、諸手当(寒冷地手当を除く)を含む平均給与月額に、期末手当と勤勉手当を加えて算出した。なお、一般行政職とは、教育職や警官といった専門職ではない、いわゆる役所で勤務する公務員を指す言葉だ。
ワースト上位は「村」や「島」
第1回は、全国市区町村(1722自治体)の「ワースト500」をお届けする。次ページからのランキングを参照してもらうとわかる通り、ワースト上位には村や島が目立つ。こうした傾向は毎年変わらない。
2016年のワースト1位となった東京都青ヶ島村は、伊豆諸島南部にある人口はわずか153人の小さな島だ。地元の酒造会社が製造する焼酎「青酎」や、「島寿司」と呼ばれるヅケの握りが名産品。島全体が二重カルデラになっており、ヒット映画『君の名は。』に登場する聖地のモデルではないかと公開後には話題を集めた。
今回、青ヶ島村役場に平均年収の低さについて問い合わせたところ、「職員の平均年齢は高いが、人員の入れ替わりが多く、中途採用なども多いため、勤続年数が短い人が多いからではないか」(青ヶ島村役場・担当者)という回答だった。
地方公務員の給与は、業務内容の複雑さや責任の度合いに応じた職務の「級」と、それをさらに経験年数で細分化した「号級」の組み合わせで決定される。級の上昇が昇格、号級の上昇が昇給にあたるが、勤続年数が短い人が多ければ、どちらも低く留まり、平均年収は上がらない。
なお、ランキングの右端には「ラスパイレス指数」を記した。これは国家公務員を100とした場合の、各自治体の給与水準を示すものだ。2012年以前は全国市区町村の平均値が100を上回り、地方が国より高い状態が続いていたが、東日本大震災の復興財源を目的に国からの給与削減要請があったことから、年々低下。2016年は全国平均で98.1ポイントで、国よりも低い状態となっている。