年利0.05%でも抜群に優れている

今、個人向け国債が人気だといいます。なぜ、このようなことが起こっているのか。実際に、個人向け国債は優れた運用対象といえるのでしょうか。

結論から述べると、現在の個人向け国債は「安全にお金を運用したい人にとって、抜群に優れた運用商品」です。優れている点は3つあります。

まず1番目の長所は「元本と利息の支払いを国が保証し、銀行預金よりも安全だ」という点です。国債については、日本の財政赤字が大きいので大丈夫なのかと心配する向きがあります。

しかし、政府による借金の大半を占める長期国債の価値が暴落するような事態が起こった場合、日本政府の財政が破綻するよりも先に、銀行の経営が傾きます。銀行の預金は「1人、1行、1000万円」の範囲で預金保険によって保護されていますが、この限度を超える預金は、銀行が破綻した場合に全額返ってこない可能性があります。

ですから、1000万円を超えるような大きな額のお金を安全に運用したい場合に、第一に思い浮かべるべき選択肢は、個人向け国債になるのです。

2番目の長所は、「将来の金利上昇にも強い」という点です。

個人向け国債には、固定金利の3年満期型、5年満期型と、変動金利の10年満期型があります。筆者が特にオススメしたいのは、通称「変動10」こと、変動金利の10年満期型です。

個人向け国債は、いずれも1年分の金利を支払うと元本で償還できるので、1年以上保有すると元本割れしません。

また、変動金利タイプのものは、元本が値下がりしないことに加えて、将来長期金利(長期国債の流通利回り)が上昇した場合に、半年単位で設定される利率が長期金利の66%に連動します。現在、長期国債の利回りはマイナス0.1%程度なので、個人向け国債の利息は下限として設定されている0.05%にはりついていますが、長期金利が上昇した場合にはこれにある程度追随できます。他方、固定金利の長期国債の利息は、保有期間中の金利上昇にともない価格が大きく値下がりします。