フォルクスワーゲン グループ ジャパンのティル・シェア社長

輸入車市場で3位に転落

「静粛を保っていた期間を終えて、より積極的な攻勢をかけることで再びリーディングインポーターになることを目指す」

独フォルクスワーゲン(VW)の日本法人フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は1月17日、新型SUV「ティグアン」の発表会を行った。その挨拶に立ったVGJのティル・シェア社長はこう強調した。

VWの自動車販売台数は2016年、世界で1031万台となり、グループ(子会社のダイハツ工業と日野自動車を含む)で1017万台となったトヨタ自動車やゼネラル・モーター(GM)を抜き、初めて世界ナンバーワンに輝いた。全体の4割近くを占める中国市場で、小型車減税の追い風を受け、過去最高の販売を達成。世界最大市場の中国で大幅に伸ばしたことがトヨタとの差につながった。さらにアメリカ市場、欧州市場でも販売を伸ばすなど、いずれも好調だった。

しかし、日本市場ではその好調さとは全く反対の方向に進んでいる。なにしろ4万7234台と15年に比べて13.8%も減少しているのだ。しかも、2年連続の大幅減。ちなみに15年の販売台数は5万4766台(18.8%減)で、VWは独メルセデス・ベンツ(6万5162台)に抜かれて16年ぶりに首位から陥落してしまった。そして、16年には独BMW(5万571台)にも抜かれて3位に転落。長年輸入車市場でトップを快走してきたVWにとって屈辱的な結果と言っていいだろう。

この要因は15年9月に発覚したディーゼル車の排ガス不正問題にあったというのが一致した見方だ。日本では該当車の取り扱いがなかったものの、ブランドイメージが大きく悪化し、販売台数減につながってしまったわけだ。しかし、それ以外にもさまざまな理由があるのは言うまでもない。

「VGJは2016年、ビジネスを考え直し、中期的な方向性を示す『ロード・トゥ2020』を策定した。昨年からのステージ1において、基盤強化を図ってきた」とシェア社長は話す。

具体的には「トライ・トライ・トライ」という名の下、移動ショールームを設置し、試乗会を開催。昨年秋から全国18カ所で行った。その際、営業スタッフだけでなく、製品の責任者、経理スタッフ、人事部長、そしてシェア社長自ら足を運んだという。