リーマン・ショック後と同じ「動き」

マンション専業ゼネコンの長谷工コーポレーションが最近、デベロッパーの無理難題に頭を悩ませている。「施工費を引き下げてくれないか」というのだ。正式に契約する前の物件の話しならわかる。しかし、そうではない。いったん契約して建設も始まっているにもかかわらず、「5%から10%引きを平気で言ってくる」という。

実は、こういったゼネコンへの注文は何も長谷工だけではない。鹿島や大成建設など大手ゼネコンにも「何とか年度末までに処理したいので泣いてくれないか」と言ってくるデベロッパーが引きもきらない。

もっとも、ここで注意したいのは、デベロッパーが「年度末」と期限を切っていること。これは「いったんここで処理してしまわないと大変なことになる」との判断がデベロッパー側にあることを意味する。つまり今年3月末までに在庫処分しようとしているということだ。

今、マンションが売れていない。2016年の首都圏の新築マンション発売戸数は前年比で11.6%マイナスの3万5772戸で、バブル崩壊直後の1992年に次ぐ24年ぶりの低い水準だ。上昇の兆しはあるものの歴史的にみれば住宅ローン金利は依然、最低水準。それなのに売れない。マンションの販売価格が高騰し過ぎて消費者がついていけないのだ。

別に、売るマンションがなかったわけではない。手元に売るべき物件はあるが、当初想定していた価格が高すぎてマーケットに出せなかったのだ。「市況が回復するまで」と物件を手元に抱え込んでいるうちに、在庫が膨らんでしまったのだ。

ただ、デベロッパー各社が様子見を続けていられるのも年明けまで。2017年3月期で特別損失を計上、ケリをつけてしまわないと、翌期に持ち越せばさらに損失が膨らむリスクをはらむ。下手をすれば落とすに落とせなくなってしまう。だから建築費をゼネコンに割り引いてもらったうえで、損失を計上して販売価格を引き下げ、処分する計画なのだ。