今回ほど北方領土問題に対するロシア側のスタンスが明確に示された首脳会談はない。それが端的に表れていたのが会談後の共同記者会見だ。

プーチン大統領が会見で言及した「ダレスの恫喝」

2016年12月に来日したロシアのプーチン大統領と安倍晋三首相の首脳会談。会談の成果について安倍首相は「北方四島で日露が共同経済活動をするための『特別な制度』について、交渉を開始することで合意した」と説明して「共同経済活動の協議開始が平和条約締結に向けた重要な一歩になりうる」と述べた。

会談後、共同記者会見を行う安倍首相とプーチン大統領(2016年12月16日)。(写真=AFLO)

これまでに日本政府が平和条約締結の前提条件としてきたのは北方領土問題である。こちらについては表立った成果はなく、日本の新聞メディアは「領土問題に具体的な進展なし」と期待外れ、との論調が目立った。しかし、私に言わせれば、今回ほど北方領土問題に対するロシア側のスタンスが明確に示された首脳会談はない。それが端的に表れていたのが、首脳会談後の共同記者会見。記者からの質問に応じるかたちでプーチン大統領は次のように語った。