「労基署の是正勧告を受けたことありますか?」
確かに、過労自殺した電通の女性社員は入社後半年余りだっただけに学生にショックを与えた可能性もある。
1995~96年生まれの学生の中には、第1次電通自殺事件を知らない者も多く、有名な大企業でもそんなことが起きるのかと志望企業の労働時間や残業時間に敏感になっても不思議ではない。
実際に新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を運営するi-plugが就活生に実施した「働き方」関する意識調査(2017年1月12日~18日)にも現れている。
学生が最も気にしているポイントとして「長時間労働やサービス残業があるか」(59.9%)、「ブラック企業かどうか」(56.5%)、「有休休暇が取得しやすいか」(46.2%)が上位を占めている(複数回答)。
自由回答ではこんな声が挙っている。
「仕事は賃金を得るための手段と考えたい。自分のプライベートや家族など、その他の生活を犠牲にして働くことは避けたい」
「近年、ブラック企業がマスメディアに取り上げられることが増え、自分自身の意識が根本的に変わった」
「生きるために仕事をしているのに死んでしまったら本末転倒」
こうした状況下で例年のように「残業や休日出勤ができますか?」と聞こうものなら、逆にこう質問攻めにされかねないだろう。
「1カ月の平均残業時間はどのくらいですか?」
「労働基準監督署の臨検や是正勧告を受けたことがありますか?」
だが、実際は冒頭で報告したように、3分の1以上の企業がこの“炎上”必至の質問にトライしているというわけである。