「定時に帰れますか?」「有休の取得率は?」

とはいえ、その傾向は何も今始まったわけではない。

たとえば2006年にライブドアの元社長の堀江貴文氏が逮捕されたとき、マスコミが盛んに報道した影響でWebなどIT系企業が悪者扱いされ、IT業界を志望する学生が激減したこともあった。

また、2014年は政府が女性管理職登用など女性活躍推進を呼びかけたこともあり、仕事と生活の両立支援を打ち出す企業に女子学生だけではなく、男子学生の応募も増加した。

当時の採用面接で男子学生から「御社の育児休業期間はどれくらいですか?」と聞かれて驚いた人事担当者もいた。おそらく両立支援策が充実している会社ほど「社員にやさしい企業」だと考えたのではないか。

そして今年は少し前にしばしば取りざたされたブラック企業と併せて、電通の長時間労働問題が連日のように大きく報道されたこともあり、働き方に対する関心が高まっている。

すでに大学での説明会に参加した食品会社の人事担当者はこう語る。

「会社の事業内容や仕事のやりがいなどについて話しても、学生からは『定時に帰れますか?』『残業時間はどれくらいですか?』『社員の有給休暇の取得率はどのくらいですか?』という質問が圧倒的に多かった。明らかに去年とは風向きが変わっている」