設置率 女性専用トイレ74%、女性専用更衣室53%

【2:男性が多い業界ではハード面の改善が課題】

ただし中小企業のなかには、男性が圧倒的に多く、女性の活躍が大きな課題となっている業界・職場も少なくありません。

その代表的な業界の1つは建設業です。

国土交通省「建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査」(平成27年)では、建設業における女性の活躍に関する取組の実態を調査するために、アンケート調査を行っています。回答企業の約9割は、300人未満の企業です。

調査のなかでは、設備面での取組状況について、
「会社に女性専用トイレを設置している」74.3%、
「女性専用更衣室を設置している」53.8%

となっています。さらに、「現場に女性専用トイレを設置している」(19.8%)という回答は、約2割程度です。女性が安心して働くためには、設備などハード面を改善する余地が残されているといえます。

筆者はある中小企業から、次のような話をお伺いしました。

その会社では、女性の専用更衣室がなかったため、会社のレイアウト変更が発生した時に、ようやく女性の専用更衣室が設置されると女性従業員たちはとても期待したそうです。しかし、レイアウト変更案を見たときに、更衣室は男女共用のままとなっており、勇気を出して女性従業員が男性上司に対して要望を伝え、女性の専用更衣室の設置が実現したそうです。男性上司も、決して悪気があったわけではなく、言われるまで全く気づかなかったのが実状でした。

女性の活躍推進のためには、設備などハード面の課題について、女性従業員とのコミュニケーションをきちんと取り、きめ細やかに対応していくことが必要だといえます。