2012年1月16日(月)

根拠なき「容積率」ここを正せば空前の好景気に!

大前研一の日本のカラクリ

PRESIDENT 2010年11月29日号

著者
大前 研一 おおまえ・けんいち
ビジネス・ブレークスルー大学学長

大前 研一

1943年、北九州生まれ。早稲田大学理工学部卒。東京工業大学大学院で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院で、博士号取得。日立製作所を経て、72年、マッキンゼー&カンパニー入社。同社本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、94年退社。現在、自ら立ち上げたビジネス・ブレークスルー大学院大学学長。近著に『ロシア・ショック』『サラリーマン「再起動」マニュアル』『大前流 心理経済学』などがある。 >>大前経営塾

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ビジネス・ブレークスルー大学院大学学長 大前研一/小川剛=構成 PANA=写真
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建物を高層化して新しい富を創出する

政府は新成長戦略実現に向けた経済対策として、老朽化したマンションの建て替えを促進するための容積率緩和を9月10日に閣議決定した。本年度中に国土交通省が検討、具体的な措置を講じるという。

規制天国の日本にとって、規制緩和は無から有を生み出す富の源泉であり、無駄な金をかけない景気刺激策としてこれ以上なものはない。その端的な例が「容積率」である。

容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。似たような制限指標に「建ぺい率」があるが、こちらは敷地面積に対する建物の建築面積の割合だ。

容積率が緩和されれば、延べ床面積を広げられるから建物の高層化が可能になる。つまり中空に新しい富を創出できるので、土地の価値が2倍、3倍になることもありうるのだ。そうなれば今ある建物を壊して建て直そうという地主も出てくるし、土地開発に金を出そうという投資家も集まってくる。

韓国では、1997年の「IMF(国際通貨基金)危機」をきっかけに容積率を倍にして大建設ブームが到来、韓国経済は持ち直してIMFの借金を前倒し返済することができた。

また、土地が貴重な香港では、日本とは正反対で新築は20階建て以上にしなければいけないというルールがある。おかげでビルやマンションの超高層化が進み、世界中から投資が集まっている。今や香港のマンション価格は一戸あたり平均3億~4億円。地上70階を超えるような眺めのいい物件ともなると8億円以上もする。それが飛ぶように売れているのだ。

このように容積率の上限を引き上げることは景気を浮揚させる効果がある。老朽化したマンションの建て替え目的などとケチな発想は振り捨て、容積率の緩和を大々的に行うべきなのだ。

現状、容積率は都市計画で用途地域ごとに制限が定められているが、そもそもそれらの数値自体、根拠に乏しい。

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