長すぎる減価償却期間を一刻も早く短縮化せよ

東京の下町、墨田区押上で着々と建設が進む「東京スカイツリー」。日本とは真逆の“低層規制”により開発が進む香港の高層ビル街。(PANA=写真)

東京の下町、墨田区押上で着々と建設が進む「東京スカイツリー」。日本とは真逆の“低層規制”により開発が進む香港の高層ビル街。(PANA=写真)

容積率の緩和だけでは東京の街並みは変わらない。大きなネックが、美濃部亮吉都政(67~79年)の悪法である「日照権」条例の問題。隣の日差しを遮ることを理由に、自分の土地に建物を好きに建てられないなどというのは、外国ではほとんど説明不能の概念で、大手を振ってまかり通っているのは日本ぐらいのものだ。

マンハッタンでも香港でも隣ぎりぎりにビルが立ち並んでいる。しかし、東京ではそれが認められないので、日照権を考慮して上部が斜めの構造になっているビルが少なくない。そうした建物は上部に行くほどフロアの床面積が狭くなるので不動産としての価値が下がる。つまり富を生まないのだ。

大体、建て替えで高層化しようとすれば隣が影になるのは当然で、日照権がある限り建て替えは一切できなくなってしまう。都市の再開発には容積率の緩和と日照権の棚上げ(廃止でなくてもいい)が必要で、どうしてもお天道様が欠かせないというのなら、開発が終わった20年後に日照権を復活させるような措置を講じるべきだろう。

もう一つ、容積率の緩和とともに求められるのが、「減価償却期間の短縮化」である。

日本の場合、コンクリート建築の減価償却期間は50年と、とんでもなく長い。減価償却が長いということは、単年度にコストとして償却できる分が小さくなる。韓国では容積率の緩和と同時に、建物の償却期間を15年に短縮したことで建設投資が加速した。

たとえば、150億円のビルを15年で償却すれば毎年10億円ずつ減価償却費が出る。そのビルが賃料などで年間12億円の収益が上がるとして、10億円の減価償却ができれば、利益は2億円で計上できる。2億円の利益に対して40%の法人税がかかってくるから、税金は8000万円。つまり、手元に10億円と1億2000万円が残る勘定になるから、非常にキャッシュリッチになって投資が加速するのだ。