夫婦円満こそが理想の老後

こうして夫婦仲がよく協力して暮らしていくことが、老後の安心の大前提ですが、だからといって、何から何まで一緒にやる必要はありません。よく、「老後の夢は夫婦で旅行三昧」などという話も聞きますが、1年もやれば飽きるし、足腰も弱くなって出かけるのが面倒になってくる。それよりも元気なうちに交遊範囲を広げて、生きがいや友達を見つけておくことが大切です。

妻はわりと地域に根付いた生活をしているのでいいのですが、夫は会社以外の付き合いを広げておかないと、寂しい老後になってしまいます。会社や仕事の付き合いは、退職したら縁の切れ目。特に男性は薄情です。

老後の準備というと、お金のことに目がいきがちですが、お金さえあれば幸せなわけでもありません。確かに生きていくうえでお金は不可欠ですが、いくら豪華な料理でも1人で食べたらおいしくないけれど、友達みんなでワイワイ食べたらオニギリでもおいしく感じるはず。友達が多ければ、お金をかけずに楽しく暮らすことができますし、いざというときには助け合うこともできます。

友達づくりのためには、夫も妻も自分の趣味をもつといいでしょう。それも、できれば人のためになる趣味。ボランティア活動でもいいと思います。先ほどの料理の話にもつながるのですが、人間は他人から感謝されると自分の存在価値を確認することができ、生きるエネルギーになります。自分だけの楽しみよりも、何らかのかたちで人のためになるものが老後の趣味としては理想的です。

最後にひとつ。最近は「定年離婚」も増えているようですが、どうしても嫌で仕方ないとか、DVで苦しんでいたりしない限り、多少のことには目をつぶって2人で暮らしていくことを考えましょう。そのためにも、夫の定年までに夫婦で老後について話し合っておくことが大切。それを通して互いの理解を深めておけば、定年後にはゴールデン・タイムが待っているはずです。

▼夫婦で合意すべき5カ条

1. 借金はできれば50歳までになくす。
2. 家計の見直しは夫婦で協力する。
3. できるだけ夫は家事を、妻は仕事を。
4. 会社以外の友達を増やす。
5. 老後の生きがいを見つける。
(田端広英=構成 遠藤素子=撮影 A to Z cafe=撮影協力)
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