片道23分なら月19%給料を上げるべき

ちなみに、経済行動学者ニック・ポータヴィーの『幸福の計算式』にはこんな記述がある。

「通勤にかかる時間は明らかに心理的な負担を与えており、かなりの昇給がなければ埋め合わせることができない。通勤に片道23分かかる人は毎月19パーセント余分に給料をもらわないと、その心理的負担を完全に埋め合わせることができない」

 

ドイツ人の片道通勤時間の平均は23分とのこと。日本人の半分以下にもかかわらず負担が大きいようだ。同著では、

「さらに悪いことに、時が経っても人は通勤時間によってもたらされるストレスや不快感にまったく順応することができない」

と続く。ということは、長時間通勤を続けているとストレスが積もり積もって、日常生活に様々な弊害をもたらす可能性があるということなのだろうか。

▼通勤時間の長さは、家族にどんな影響があるか?

そこで今回、都内在住の共働き夫婦3組に話を聞いた。

ケース1は、通勤時間が「理想の30分圏内」、ケース2は「平均値の約1時間」、ケース3は「限界値を超えた1時間半」(いずれも自宅から会社までDoor to Doorの通勤時間)。

【ケース1 夫:40分、妻:30分】

この夫婦は結婚後、2回引っ越した。1回目は、妻が妊娠し、お腹が大きくなってきたことから階段がない家で、かつ妻がバス1本で通勤できるエリアに転居。それによって通勤時間は、夫:45分⇒30分、妻:45分⇒20分と、双方ともに短縮された。

その後、出産を機に分譲マンションを購入し、2度目の転居をした。当時、妻は産後に専業主婦になる予定だったので通勤時間という点では夫のみ考慮対象にしていた。投資物件になり得るようにと都心の人気エリア、駅徒歩3分の好立地に決めた。結局、妻は産後働いているが、それでも通勤時間は夫40分、妻30分と夫婦ともに悪くない。

「今は一緒に通勤しています。そのとき、家庭内のことについて夫と話ができるのがいいですね。通勤時間が比較的短いので、途中で夫が下車し、話が尻切れとんぼになることもありますが……。夫婦仲は、悪くはないですね」(妻)