ファンタジーと和の融合――DAZZLE独自の世界観

177センチ、60キロ。スレンダーな肢体せいか、その佇まいの静けさからか、長谷川達也はストリートダンサーというよりも、どちらかといえばクラシックバレエの踊り手を彷彿とさせる。

「DAZZLEは大学のダンスサークルで出会った仲間なんです。1996年に結成しました。僕らの共通の思いはストリートダンスのグループとして一目置かれることでした。当時、注目されていたストリートダンサーは、ワルそうな人ばかり(笑)。結成が遅かった僕らは、そんな彼らの中から、どう抜きん出るかを考えました。独自性をどう出すのか、足りない技術をどう補うのか。音楽、衣装、照明、空間演出……いろんな要素が必要でした」

DAZZLEのメンバー8名。ファンのためのイラン海外公演報告会からのひとコマ。センターの長谷川を中心に、手前中央左から時計回りに、宮川、飯塚、南雲、渡邉、高田、荒井、金田(敬称略)。

幸い、集まった8人は、得意とする分野がそれぞれにあった。

「例えば僕が原案を作り、演出をする。飯塚浩一郎は脚本、映像、衣装などのプロデュース力に長けている。荒井信治と高田秀文は舞台のセットを組むことができ、宮川一彦、金田健宏、南雲篤史、渡邉勇樹はWebや宣伝、グッズなどを担っています。必要なことはその都度、メンバーで補い合っているんです。そして僕をはじめメンバー全員が、振付師でもあるんです」

当初から長谷川が心掛けたのは「他のグループが選ばない題材を選ぶ」ことだったと言う。

「ダンスのストーリーを作るとき、映画、漫画、ゲームといった違う文化の要素を絡めていきました。僕には根源的にファンタジーとか非現実の世界に対する憧れがあるんです」

『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』。長谷川が子どもの頃から親しんだゲームの幻想的な世界と、日本の伝説や古典とが融合する。長谷川の書く怪しくもはかない世界が根底にあり、それがまさに、DAZZLEのダンスが異彩を放っている理由とも言えるだろう。

「目標はストリートダンスの登竜門、ダンスディライトというコンテストでした。そこで認められるのに5年はかかりましたね」。2001年のダンスディライトで準優勝。目標は達成したが、その後もひたすら表現の模索を続けた。

2007年に舞台活動を開始。それから今に至るまでは、DAZZLEが開花するきっかけになった人々との、大いなる出会いに満ちていた。