いつか必ず本物のCEOに

──川崎社長は、久乗さんにどんなことを期待していますか?

【川崎社長】久乗さんには、いつか本物のCEOになってほしいと思っています。アデコでなくても、どこでもやっていけると思います。

初めての面談のとき、彼女は「人の上に立つのは向いていない。No.2に向いていると思う」と言っていました。なぜかと聞くと、「CEOというのは、会社の利益を考えなくてはならず、難しい苦しい判断をしなくてはいけない。それは私には向いていない」と言うんですね。

それで私は重ねて聞いてみたのです。「たとえば自分がCEOを支えるNo.2の立場だったとして、CEOが業績悪化などの理由で社員を解雇したいと言い出した。あなたはどうする?」すると彼女は間髪入れず「そんなことはさせません。絶対やめさせます」と言う。「でもあなたはNo.2なんだよ?」と問うと、「でも絶対何かの方法があるはず。ありとあらゆる方法を考えて、CEOの考えを変えさせます」と言い切るのです。それはもはや、CEOですよね。

彼女は、30代と言わず、20代でもCEOになれると思います。ぜひ活躍してほしい逸材ですね。我が国に、こんなすばらしい将来性のある女性がいるのは、本当にうれしいことです。

【久乗さん】ありがとうございます! 食事の席では「その場で一番偉い人がごちそうする」という“川崎さんルール”というのがあるんです。今の私には全然がお金がありませんが、いつか川崎さんにごちそうしたいです。それを私のゴールにします。

【川崎社長】いいですね。楽しみにしています!

構成=大井明子 撮影=石井雄司