スタンバイ状態なら「休憩」ではない!?

【なの】そういえば、質問の冒頭にもありましたけど、業務中にたばこ休憩に行く人っているじゃないですか。休憩に行ったきり、全く戻って来ない人とか! 私はたばこを吸わないので基本的には昼しか休憩は取ってないんですけど、たばこを吸う人たちはそのたばこ休憩中も休んでいるわけですよね? 同じ労働時間なのに納得がいかないんですけど……法的にはどうなんですか?

【岩沙】たばこを吸わない人からの納得できないという声は、よく聞きますよね。でも少し難しい問題で、グレーな部分もあるんですよ。

【なの】どういうことですか?

【岩沙】実は、仕事中のたばこ休憩を労働時間と判断した判例もあるんです。

【なの】えっ! どんな場合ですか?

【岩沙】その判例では、一斉に休憩がとれない飲食店の従業員が、規定の1時間の休憩もちゃんと取れない中で、店舗内の更衣室兼倉庫で喫煙していたというケースで、喫煙中でもすぐに仕事に戻れる状況だったという事情もあり、たばこ休憩=労働時間と扱われました。

【なの】でも、通常の1時間休憩も取れていない人の話ですよね? それなら仕方ない気もします。

【岩沙】また法的には、例えば電話待ちのように、仕事をしなければならなくなったら、すぐに仕事にとりかかれる状態で休んでいる時間は「手待時間(てまちじかん)」と呼ばれ、「休憩」ではないとされているんです。

【なの】へぇ! 初めて聞きました。

【岩沙】このような特殊な状況での判断なので、一律にたばこ休憩=労働時間とはいえず、ケースバイケースの判断にはなると思います。休憩が満足に取れないような会社で、デスク近くの喫煙所で1日数分のたばこ休憩を数回とっていたにすぎなければ、労働時間として扱われる可能性はありますね。