A 全て労働時間として扱われる

<解説>

【岩沙】初めまして。アディーレ法律事務所弁護士の岩沙好幸です。事務所では不当解雇や未払い残業代など主に労働トラブルを担当しています。

【なの代(以下、なの)】先生~! 今回から始まります「職場のあるある! リーガル相談」、よろしくお願いします。私達迷える子羊に、法律についていろいろと教えてくださいね。

【岩沙】お任せください。できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。こちらこそよろしくお願いします。

【なの】それにしても、今回の質問の答えってA、B、C、D全部実労働時間として扱われたんですか? 意外過ぎます! 特に入浴していたって驚きです。

【岩沙】職場にシャワールームがあったんでしょうかね。

【なの】ということは……結構何でも許されちゃうんですね。

【岩沙】いえいえ、もちろん全部が全部、実労働時間として扱われるわけではないですよ。今回の場合、労働者がA~Dの行為をしていた日時を、会社がきっちり特定して、タイムカードと実労働時間が違う! と証明することができれば、労働時間と扱わないこともできたのですが。会社は日時を特定できなかったので、労働時間と扱われたんですね。

【なの】なるほど。証明できないとダメってことですね。でも、いつ寝ていたかとか、いつ入浴していたかなんて、どうやって証明できるんですか?

【岩沙】他の従業員の目撃証言や記録や監視カメラなどですね。例えば「B. 眠くて寝ていた」のケースでいうと「何月何日の何時から何時まで仕事をさぼって寝ていた」と特定できていれば、実労働時間にはならず、給料カットや職務専念義務違反で懲戒もありえたでしょうね。

【なの】会社側も何か根拠があって訴えたと思いますけど、その証拠が弱かったってことですかねぇ。

【岩沙】そうですね。でも、その他にも労働時間と扱われる要素があってこの判決に至ったと思いますので、くれぐれもまねはしないようにしてくださいね(笑)