では、相手の思考パターンを読み取るにはどうすればいいのでしょうか。まずは、一般的に人はどんな「スイッチ」で動くのかを整理しておくといいでしょう。上記の「やれる・やりたい・やらざるをえない」の中に、プライドが高い、競争が好き、おもしろいことはやる、保守的・慎重、上からのプレッシャーに弱い、といったことを整理し
ておきます。

一方で、上司をよく観察して、特にどういうスイッチで動くのかを見極めます。一般的には、上の立場になればなるほど、守るべきものも増えます。また「ノー」と言われることに慣れていないため、役職が高ければ高いほどプライドも高くなりがちです。

手段がフェアなら「媚び」は肯定される

こういうやり方は、「媚び」や「ゴマすり」のような手だと感じる人がいるかもしれません。しかし、嘘がなく、ゴールがまっとうで、手段がフェアであれば、別に気にすることはないでしょう。人が集まって働くということは、最終的に「心と心」の問題です。相手のことを理解しようとしているうちに、お互い、腹を割って話せるようになり、もっとストレートに向き合えるようになるかもしれません。

さらに上司とうまく仕事を進めるためには、「上司の気持ち」のほかに、「上司の視点」を持つことが重要です。「上司が全然受け入れてくれない」という人の話を聞いてみると、自分の立場での最適案を考えてしまっているケースが多くあります。その提案を上司の視点から見ると、「それではほかのところで問題が起きる」「もっと先に取り組むべきことがある」という内容であることが少なくないのです。特にありがちなのは、優先順位を間違えた提案です。何かに力を入れれば、そのぶん、ほかのことができなくなるわけです。とりわけほかの人たちまで動かすような提案では、それだけ影響が大きくなります。