5%への「引き下げ」判断が望まれる

消費税増税が約3年先に延期となった。延期になったところで、経済状況が好転するわけではなく、やはり本質的な実体経済の増強を考えるのであれば、消費税は少なくともアベノミクスのスタートした時点である5%への引き下げという判断が望まれる。

GDPに占める各国の輸出比率を見ると米国は1割以下、日本も米国に次ぐ低さの1割程度であり、一方ドイツは4割近くを占めている。こうした各国の相対比較からすれば、日本はドイツ型というよりも米国型の経済構造に近い、つまり外需依存型というよりは内需依存型の経済大国と言えよう。

であるとするならば、税制に関しても高福祉・高負担の欧州タイプというより、低福祉・低負担の米国タイプとなるはずなのだが、実際のところは低福祉(例えば、家族政策に充てる社会保障費はフランスなどと比べると3分の1)で高負担(国税に占める消費税は試算によれば平成28年度予算で28.1%と、欧州の国税に占める付加価値税=消費税の比率とほぼ同じか、むしろ日本の方が高い状況)となっている。経済構造は米国タイプを推進しつつ、社会保障は低福祉。対して、欧州に準じる高福祉となるような喧伝のみで税金だけは負担が大きいとなれば、社会の不平等や格差が広がっていくのは当然の帰結であろう。

日本の国家としてのグランドデザインをどう描くのか、ということと税制の在り方は実に密な関係にある。というわけで、その国にとって適正な税制というのは、どういった国家像を目指すのかという全国民を巻き込んでのコンセンサス作りが究極的、本質的には必要となる。