多くの日本人にとって“近くて遠い国”、中国。しかしここ数年は、本当に身近になってきている。「爆買い」という言葉はすっかり定着したし、増え続ける観光客を街中で見ることも増えた。

なにより台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープを買収する、東芝が家電部門を中国の美的集団に売却するといったニュースに接して「自分が働く会社が中国系企業に買収される、つまり日本に住んでいても、中国企業で自分が働くという可能性があるのか」と感じた人も多かったのではないだろうか。「日本にいながら中国企業で働く」日本人は今後増えていく可能性が高い。

外資系企業で働く人の話を聞くことは珍しくないが、一般に外資系企業といえば欧米の企業をイメージする。中国企業で働くとはどんなことなのかについての情報は、まだまだ少ない。語学力やコミュニケーション、商慣習などの面において、日本の伝統的な企業、あるいは外資系企業とはどこが違うのか? 本記事では中国企業に勤める日本人の広報担当者3人に集まってもらい、入社を決めた理由から中国人の上司や同僚との付き合い方、働いていて驚いたことなど、「中国企業あるある」をテーマに話を聞いた。

≪取材に協力いただいたみなさん≫
・アリババ……阿里巴巴集団(Alibaba):アリババ株式会社 社長室広報の木村良子さん
・バイドゥ……百度(Baidu):バイドゥ株式会社事業企画本部マーケティング部広報の岩間千香子さん
・ファーウェイ……華為技術(Huawei Technologies):華為技術日本株式会社広報部マネージャーの江島由賀さん

3人とも、初めての外資系企業

――自己紹介をお願いします。

【バイドゥ】バイドゥ広報の岩間です。入社は2014年6月で、その前まで9年間、某ポータルサイトで広報を務めていました。バイドゥでは1人で広報業務を担当しています。

【アリババ】アリババ広報の木村です。2009年9月に入社、今年で7年目になります。前職は広報ではなくて、不動産検索ポータルサイトの運営でした。ちょうど紙媒体とWeb媒体の勢力図が変わってきた時代で、今後もネット業界に関わりたいと思ったこと、国内市場の成長が頭打ちになるのを感じていて、海外企業に興味があったのが転職の理由です。海外とインターネットをキーワードに仕事を探している中で、縁があってアリババに入社しました。広報は3年前から担当しています。

【ファーウェイ】ファーウェイの広報、江島です。入社は2012年で、その前はあるゲーム会社で約7年企業広報を務めました。その間、出産をし、40歳になるタイミングで「広報として新たなことをやってみたい」と思ったのが転職の理由です。