2016年3月30日(水)

5人の人事担当者が激白「長時間労働のリアル」座談会

PRESIDENT 2016年3月14日号

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

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ジャーナリスト 溝上憲文=文
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ディスカウント大手のドン・キホーテが従業員に違法な長時間労働をさせたとして、東京労働局が執行役員ら8人と同社を1月28日に書類送検した。従業員6人に労使協定で定めた3カ月120時間を超える残業をさせた容疑だが、2店舗では2人に最長415時間45分、他の3店舗では4人に最長265時間30分の残業をさせていた。

415時間といえば1カ月138時間。1日8時間、週40時間の法定労働時間から計算すれば、1日平均6時間を超える残業だ。9時始業、18時終業(休憩1時間)の会社であれば、深夜12時を過ぎなければ帰宅できない異常ともいえる長時間労働だ。これは極端な例としても、長時間労働は同社だけの問題なのか。

そこで5人の人事担当者に集まってもらい、残業の実態について本音で語ってもらった。そこで共通するのはドン・キホーテが氷山の一角にすぎないという衝撃的な事実だった。

【ゲーム】うちは職種ごとに残業時間の上限が月17時間程度という数値目標があり、なんとかその範囲内に抑えようという意識が全社的にある。管理部門はその範囲内で回しているが、営業職など顧客対応の職種は繁忙期に40時間超の社員が多数出てくる。

【建設】一定以上の残業は記録しないように指導するとか、社員自ら残業を記録しないケースが横行していると思う。つまり、実際の残業時間と申告された残業時間のギャップが大きい企業が多いのが実態ではないか。

【電機】さすがに3カ月で415時間の残業は極端だが、月60時間程度の隠れ残業をしている人が結構いる。申告した残業が月に40時間なら、実際には100時間近くの残業をしているのではないか。とくに管理職の長時間残業が常態化している。

【食品】管理職には残業代は出ないが、すごく残業している。うちの製造部門では工場長が朝の5時に出勤し、課長も6時前には出勤し、6時から会議が始まる。これは流行の朝方勤務でもなんでもない。せめて早く退社するように言っているが、夜の8時、9時まで残業している。

【建設】部門別の残業代の予算を設定し、その範囲内で収めるように要請している。もちろん残業をつけるなとは法的に言えないし、上司もそこまでは言えない。一方、社員の側も残業時間を多く記録すると、能力がないように思われるので少なくつけてしまう。結果的にサービス残業が増えることになる。

【IT】ドンキの送検はカトク(過重労働撲滅特別対策班)の見せしめ的意味合いが強いね。ABCマートの摘発など小売業や飲食業が続いているが、次はIT業界じゃないかと戦々恐々としている企業も少なくないよ。

【ゲーム】そう。送検までされる企業はごく一部の企業にすぎない。実はうちも数年前に是正勧告を受けた。うちは裁量労働制だけど、社員の多くが月40時間以上残業するのが当たり前になっていた。勧告を受けてから部門ごとに残業時間を全管理職に公開し、部下の残業時間を全社ベースで厳密に管理するようにした。

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