2016年3月9日(水)

「ブラック就業率」が高い県ほど「いじめ容認」の傾向

データは踊る【5】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
舞田 敏彦 
武蔵野大学、杏林大学兼任講師

1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。主な著書に『教育の使命と実態』『47都道府県の子どもたち』『47都道府県の青年たち』(いずれも武蔵野大学出版会)などがある。

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武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文
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27人に1人、約114万人が「ブラック就業者」

ブラック企業――。

従業員をメチャクチャに酷使し使い捨てる企業ですが、こういう阿漕な組織で働いている人間はどれほどいるか。この点に関する統計はありませんが、ブラックな働き方をしている人の数は、官庁統計から知ることができます。私生活、場合によっては生存が脅かされるほど、長時間労働をしている人たちです。

総務省の『就業構造基本調査』では、「年間就業日数×週間就業時間」のクロス表が掲載されています。年間200日以上の規則的就業をしている正規職員に限ると、集計対象は3092万人です(2012年)。この正社員3092万人について、就業日数と就業時間をビジュアルに表現すると、図1のようになります。

全体の正方形(3092万人)を、「就業日数×就業時間」の群で区分けしたグラフです。各群の比重が視覚的に分かる仕掛けになっています。

最も多いのは、年間250~299日・週43~59時間就業の群で、全体の27.4%を占めています。月22日(週5日)、1日10時間くらい働いている人たちですが、普通のリーマンはこんなところでしょうか。次に多いのは左下の群。法定に近い「ホワイト」な働き方をしている人たちとみてよいでしょう。全体に占める割合は19.3%、およそ5人に1人です(少ない……)。

問題なのは、対極の右上のグループです。

年間300日・週60時間以上、つまり月25日(週6日)・1日10時間以上働いていることになります。最低に見積もっても、月間の労働時間は250時間。標準の160時間(20日×8時間)を90時間も上回っています。過労死ラインの月間残業時間は80時間とされていますが、この線を超えています。

生存が危ぶまれる「ブラック」な働き方をしている人たちです。

このブラック就業者は、2012年10月時点の実数でみて114万人、正社員全体の3.7%(27人に1人)となっています。なお、この比率は職業によって異なり、教員では9.0%、自動車運転従事者では10.0%、飲食物調理者では15.5%、医師では27.1%にもなります。これらの職業の過重労働はよく指摘されますが、数値でもそれは表れています。

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