2016年3月2日(水)

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大家や大先生に本人確認できるか

サラリーマンが、12月あるいは1月の給与明細とともに会社から受け取る「給与所得の源泉徴収票」。そこには、給料がいくら支払われ、所得税がいくら源泉徴収されたかが記されている。じつはこれ、「法定調書」と呼ばれているものの一つ。

副業で事業経営をする場合、人を雇えば同様に源泉徴収票を作成し税務署にも提出することになるが、「それ以外にも翌年1月末までに提出しなければならない法定調書がある」と岩松正記税理士は説明する。

税理士 岩松正記氏

「『支払調書』と呼ばれているもので、サラリーマンにはなじみが薄いかもしれません。たとえば個人で賃貸オフィスを経営している大家さんに年合計15万円以上支払っている場合には、『不動産の使用料等の支払調書』を税務署に提出する必要があります。外交員、集金人、ホステスなどの報酬については、同1人に対し年50万円を超えると、また弁護士や税理士に対する報酬、原稿料や画料、講演料などについては年5万円を超えると『報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書』の提出義務が発生します」

これが面倒だからと、なかには「支払調書なんて税務署に対する単なる報告に過ぎない。会計上の処理はきちんとやって、税金も納めているのだから提出しなくても文句はないだろう」などと開き直る人もいるらしい。でも、侮らないほうがいい。

「『1年以下の懲役、または50万円以下の罰金』が科される可能性があります。もっとも、実際に罰がくだされたという話は、私の周囲では耳にしたことがありません。というのも、支払調書を提出したほうがメリットが大きいからです」

手間をかけても享受したいメリットとは何か。

「『確実にこれだけの金額を支払った』という経費の証拠になることです。たとえば『支払いを受ける者』が税金を安くすませようと実際の金額より少なく申告したとします。そうなると『支払者』が経費を過剰に申告したのではないかと疑われかねません。支払調書は『支払いを受ける者』に対する発行義務はありませんが、税務署だけでなく『支払いを受ける者』にも渡しておいたほうが、“自己防衛手段”となるのです」

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