「えっ!? ホント? やっ、やった~!」

2015年12月1日の夕方、東京・新宿にある紀伊国屋書店本店をウロウロしていた私は、携帯に流れてきたニューストピックスを見て、思わず小さな声でこう叫んでいた。そして、すぐさまプレジデント社の担当編集者にショートメッセージを送ってしまった。

「今年の流行語大賞に、『爆買い』が選ばれましたよ!」

編集者も興奮ぎみに返事を返してきた。

何しろそのちょうどその頃、私たちが編集を終えたばかりの本のタイトルが、まさに『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?――中国人のホンネ、日本人のとまどい』だったからである。

『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?――中国人のホンネ、日本人のとまどい』(中島 恵著・プレジデント社)

なんという偶然のタイミングなのだろうか。今年の流行語にノミネートされていたことは知っていたが、まさか大賞まで受賞することは……。タイミングが良すぎるではないか。

しかし、今年、2015年を象徴する言葉こそ、まさにこの「爆買い」という言葉だったのではなかっただろうか、と思い返した。

それは春節から始まった。2月下旬の春節期間中に見た光景は“衝撃的”だった。過去最大規模に上る約45万人もの中国人が日本観光にやってきたのだ。この間の消費金額はなんと約60億元(約1140億円)! クルーズ船でやってきた5000人の観光客の波、波、波。10月の国慶節(中国の建国記念日)の頃にもほぼ同額のお金を落として帰っていったことは、まだ記憶に新しいだろう。

温水洗浄便座、高級炊飯器、ステンレスボトル、果ては南部鉄器にランドセルまで……。

「なんでこんなものまで中国は“爆買い”するのよぉ~」。そんな日本人の驚きとも、感嘆とも、ため息ともいえない言葉が全国各地で聞かれた。