多くの人は、話し下手だが仕事はできると思っている。だが、甘い自己認識はもう通用しない。どこがダメか。スピーチのプロ、西任暁子さんが一刀両断する。
ポイント1▼お手本を持ち、マネしよう
話し方は努力次第で上手になります。なかでも効果的なのは、人の話し方を真似てみるということです。
小山昇・武蔵野社長は、子供のころ吃音で赤面症だったそうですが、テレビの落語や友人のしゃべり方を真似ることで、話し方が上達したと語っています。
知識賢治・日本交通社長の場合はもっと本格的で、これはと思った人の講演を繰り返しテープで聴き、抑揚のつけ方や間のとり方まで話術の一切を真似たというのです。
私もときどき他人の話し方を真似ています。とても品のいい言葉づかいをする女性の話し方を真似てみたり、尊敬する方の講演を聞きながら、頭の中で、エコーのように同じ言葉をしゃべってみたりします。
講演ではその場で口に出して話すことはできませんが、家で講演の録音や録画を聞くときには、実際に声に出してスピーカーの話を追いかけています。「そこで私は」と講演者が言ったら、自分も追いかけて「そこで私は」と言うといったように、そっくりそのまま話される言葉を追いかけていくのです。
逆にわかりにくい話を聞くときには、「私ならこう話すな」と言い換えながら聞いています。
そんなふうにして、人の話を聞いているときにも話し方の練習ができるのです。
誰かのしゃべり方を真似ると、滑舌やリズム、使う言葉も似てきます。話し上手な上司が多い職場では、部下も話し上手に育ちやすいものです。
有名な人でも身近な上司でも構いません。これはと思った人を師匠と決めて、同じように話せるまで真似てみるといいでしょう。