2015年11月9日(月)

人材の優劣を決める“自信”をどう育むか

[ストーリーで読む]上司が「鬼」とならねば部下は動かず【2】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
染谷 和巳 そめや・かずみ
アイウィル代表取締役

染谷 和巳1941年東京都生まれ。東京教育大学(現筑波大学)卒業。出版社、社会教育機関勤務を経て、88年、人材育成会社(株)アイウィル設立、代表取締役社長に就任。2015年より同社主宰。上司としての考え方や行動の仕方、部下の指導法など、幹部教育の第一人者として活躍中。著書に『上司が鬼とならねば、組織は動かず』(プレジデント社刊)ほか多数。

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染谷和巳=文
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「1番になった体験」が自信を作る

「優れた人に共通点が1つある」とある人が言っていた。判断力、思考力、行動力などの能力ではない。それは小さいときから大きくなる過程で、何かで“1番になった体験”を必ず持っている点である。

クラスで1番、学校で1番、町で1番、ある集団で1番、1番なら何でもよい。弁論大会で優勝、運動会の競争で1番、勉強の成績トップ、1つの科目が学年で1番、ケンカが1番。別に1番でなくてもいい。人がやったことがないことに挑戦してやり遂げるといった成功体験も同じである。

『ザ・鬼上司!』(染谷和巳著・プレジデント社)

たとえば、夏休みに自転車で本州1周した学生、毎朝腕立て伏せを50回、学生の頃からしている人、日記を小学生のときから欠かさず毎日つけている人、20日間断食した人、こうした人も1番体験と同じものを獲得している。

この体験がその後の人生に役立つ。困難に直面したときの心の支えになる。人の上に立って人を動かすときの自信になる。いつしか「あの人は優秀だ」と言われる人になっている。

人を育てる第一歩は、自信をつけさせるお膳立てをすることである。すなわち1番体験、成功体験をさせること。

仕事を任せる。競争させる。困難に挑戦させる。最後まで口を出さず見守る。助けを求められても自分でやれと放り出す。こうしてトップでゴールのテープを切る体験、勝利の陶酔を体験させる。

社員を一人前にしたいなら、何かを成し遂げさせなければならない。自信を持たせねばならない。遅ればせながら、社員に渾身の力を振り絞らせる場を提供しなければならない。

上司の「仕事の与え方」によってその場ができる。戦いの場、勝負の場を与える。もちろん負けて消えていく人もいるが、勝って輝く人がいる。その人は人材になる。

特に新人の教育などは、これ以外のことは何をしてもムダである。意識を高めようと説教しても、態度をよくしようと基本動作の訓練をしても、仕事の技術を教えてもムダである。これを戦争、勝負、戦いにする。このシステム、このお膳立てがあって初めて効果が上がる。1番になる誇りと負ける屈辱……。

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