2015年9月17日(木)

「ムダにカッコいい」ヌンチャクiPhoneケースが生まれた理由

「進化系中小企業2.0」【27】ニット―

PRESIDENT Online スペシャル

ジャーナリスト 吉村克己=文 日本実業出版社、ニットー=写真提供
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プレス金型の設計製作やプレス加工などを行うニットーは、どこにでもある地味な町工場に見えるが、2代目社長の藤沢秀行によって生まれ変わった。設計、試作、金型製作、量産まで一貫して対応できる体制を整え、iPhoneをヌンチャクのように振り回すユニークなケースを自社ブランドで開発、ヒットさせ、注目を集めている。

無駄にかっこいい操作性でヒット!

iPhoneをまるでヌンチャクのように振り回すことのできるユニークなケース「トリックカバー」がヒットしている。

2012年夏に売り出されて以来、累計で約3万個を販売している。

ケースが自由にスライドしたり、開閉できる上に自立型スタンドにもなる。もちろん、本体はしっかりシリコンシートで保護されており、悪影響はない。ポケットからおもむろに取り出し、カチャッと開いてスライドさせて電話をする。開発したニットーではこれを「無駄にかっこいい操作性」と、呼んでいる。少年的な遊び心たっぷりの商品である。

そもそも開発のきっかけが、ネット上で開催されたエイプリルフールのイベント「春のおばかモノづくり祭」にニットー社長の藤沢秀行(42歳)が応募したことから始まる。

藤沢秀行・ニットー社長

「自分がほしいものを作ろうと、仕事が終わった後にアイデアを考えて試作品を作り、ネットに動画をアップしたところ、けっこう反響があり、さらに改良して公開すると、『この製品がほしい』という声が高まっていったんです」

まさに遊び心から始まっているのだが、製作にはニットーならではの金型製作やプレス加工などの技術力が駆使され、動作や構造検証、耐久試験などを何回も行うなど、“真面目に”作られている。

「いまは人と違うものや、オリジナルなものがほしいという消費者が増えています。ある意味、非常にニッチな市場であり、そこに中小企業のものづくり力が発揮できる。大量に売れるわけではないので、大手は手を出しにくいが、中小ならできるのです。ネットで販売すれば、世界の裏まで発信できる。実際、海外からも反響があります」

藤沢はトリックカバーを作るに当たり、ネットを充分に活用した。2012年の4月に「おばかモノづくり祭」に応募して、その反響から5月に製品化を決意。開発・試作の経過を逐一、ネットで公開し、ユーザから寄せられる要望や意見、アイデアを取り入れて改良を繰り返した。

「開発の公開は一種のマーケティングでした。我々には広告費を使う余裕はない。製作過程が見えることで、『まだ、できないのか』『早くほしい』という期待が高まり、そのやりとりを見た企業から『完成したら扱わせてほしい』と4社ほどオファーが入りました」

開発費用もクラウドファンディングを使って調達し、約200人から130万円以上を集めた。クラウドファンディングとはネット経由で不特定多数の人から少額の資金を集め、完成した商品を優先的に提供する調達方法だ。

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