ファーストクラスの常連である超ビジネスエリートたち。彼らは、どんなものを身につけ、どう振る舞うのか……。元CAの美月あきこさんが、長年の乗務で気付いた共通項を紹介する――。

ファーストクラスに搭乗するビジネスエリートの方々は、皆さんきちんとした身だしなみをされているのが特徴です。

「外見を整える」のは、彼らにとってはマナー以前のこと。服装や持ち物にお金をかけ、気遣うというのは、社会的なコミュニケーションの機会を重視している表れでもあるのです。

写真提供=日本航空

シワひとつない素材のいいスーツ、ピカピカに磨かれた靴。スーツはおそらくオーダーメード。靴はきちんとメンテナンスされ、愛着を持っていることがひと目でわかります。物の扱いは何に対しても非常に丁寧。機内で脱いだ靴はきちんと揃え、他人の目に触れないような位置に置くという気遣いも。靴が床に転がっているなんてことはありえません。身につける物といえば、長年のファーストクラス乗務で、ビジネスエリートの方々の持ち物に対する好みに意外な共通点があることがわかりました。それが顕著に表れるのは、実は時計。女性にとっては、あくまでも自分を引き立てるアイテムのひとつですが、男性の場合、時計はその人自身の内面や生き様、人柄を表現すると言っても過言ではないのです。

ファーストクラスの常連の方々、特に老舗の創業社長や、その2世の方々が好むのは、海外マニュファクチュール系(自社一貫製造)高級ブランド時計。なかでも、よりフォーマル度が高く、シックで過度な装飾のないデザイン。伝統と信頼を守る決意を、老舗ブランドの時計に重ねているようにも思えました。

外資系のエグゼクティブは、同じ老舗ブランドでも、質実剛健で実用性、機能性の高い、がっしりとした機械式ムーブメントの時計。シンプルでも、スタイリッシュな物を好む傾向が見て取れました。