逆に新興リッチの方々に多いのが、ひと目でどこのブランドかわかる、特徴あるデザインが自慢のジュエラー系高級時計。時計の分野では“新派”に分類されるものが多かったですね。シャツの袖をたくし上げ、周囲に時計が見えるように、腕の向きをいちいち変える方もいました。華やかな時計同様、ご本人の印象も派手。せっかくの時計を、「稼いでいるオレ」をアピールするツールにするのは、もったいない話です。

時計はYシャツの袖口から見えるか見えないかくらいの位置につけるので、本来そこまで目立ちません。でも、明らかにこのタイプの方々はCAに堂々と見せてくださるのです。他人に「見せたい」と思う人ほど、目立つ時計をつけたくなるのかもしれませんね。時計だけではなく、時に高級外車とわかる車のキーを、飛行中ずっとテーブルの上に置く方も……。機内で不要なものを出すなんて、あまりにも「不思議」な光景だと思いませんか?

ファーストクラスの常連の方々のマナーは、相手への気遣い、食事、身だしなみのどれをとっても非の打ちどころがありません。こうしたマナーのいい方は、たとえ高価な素晴らしい時計であっても、それを自慢したり、見せびらかすことは決してありません。何においても「さり気なく」が、ビジネスエリートの基本です。

CA-STYLE 主宰 美月あきこ
日系・外資系航空会社の国際線キャビンアテンダント(CA)として活躍後、CA経験者のポテンシャルを活かすサービスを提供する会社、CA-STYLEを設立。人材育成コンサルタントとして、日々全国各地で講演・研修を行っている。ビジネスマナーにも造詣が深い。
(構成=戌亥真美 写真提供=日本航空)
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