人には同じ24時間しかないのに、なぜ仕事の進み具合に差が出るのだろう。成果を挙げる人たちの話を聞いてみると、業界は違っても、段取りに対する共通の意識が見えてきた。
150席を完璧に仕切る29歳女性店長
17時に店が開くや、平日にもかかわらず団体客が早速入ってくる。150もある客席はどんどん埋まり、店が一気ににぎやかになっていった。
「大体、平日は19時、週末は18時には満席になりますね。GWは開店20分で全席が埋まって、23時まで常にお客様にお待ちいただく状態でした」
そう語るのは、8月現在で全国に380店舗ある焼鳥屋チェーン・鳥貴族で売り上げナンバーワンを誇る池袋サンシャイン通り店店長・吉井美香さんだ。以前店長を務めていた店でも売り上げ1位に輝いた実績を持つ。
居酒屋勤務というと“長時間の過酷労働”のイメージが一部にあるが、吉井さんの1日はダラダラしていない。6パターンある勤務体系の一例をあげると、正午に出勤し、仕込み、予約確認、シフト作成の店長業務など、その日の準備を16時を目標に片付ける。休憩は早めに済ませ、あがりの23時にはスパッと帰宅。会社が労務管理を徹底する方針であり、仕事さえ終わっていれば、終業予定の30分前に帰ることもある。
とはいえ繁盛している居酒屋の現場はハードだ。続々と来店する客。ひっきりなしに舞い込む注文。自らも業務をこなしながらスタッフに指示を出すのは「選手をやりながら監督も務める感覚」だという。そこで大事になるのは「瞬時の判断」だ。
「自分の中で優先順位が決まっているので、何が起きても迷うことはないですね。優先処理するのはトラブルです。ドリンクをこぼしてしまったときは、調理中でもほかのスタッフに任せて飛んでいきます。そこは責任者が出ていかないと解決しませんから。初期対応はスピードが命。トラブルが大きくならないように先手を打って、クリアな状況にするのが私の仕事です」