“出るところは出る”方針で現場を回す一方、個人の力量のみでは店を切り盛りできないことも知っている。担当する店の規模が大きくなるにつれ、「自分1人が120%の力を出しても店は回らない。それよりも50の力で周りの教育をしたほうが、120にも150の戦力にもなる」と考え方が変わった。

マニュアルを使って指導する時間もあるが、スタッフには現場で頻繁に声をかけて改善していく。キッチン、ホール、会計を全員が横断的に担当するシステムの中、忙しい週末は各自得意なポジションに配置。若干余裕のある平日は慣れない業務を任せて、使いながら育てていく。

酒も手伝って、突発的なトラブルが起きやすい居酒屋では、すべての段取りを事前に立てられない部分もある。予測不可能な出来事が多い環境においては、「全体の戦力の底上げが究極の段取り」なのかもしれない。

【QUESTION】一度に複数の仕事を頼まれたら、どうすべきか?
自分の中で優先順位をつけて、動くべきことから即動きます。トラブルになりそうな案件が最優先。あとは自分一人で背負わず、周りにお願いして片付けていくことですかね。普段から協力してもらう態勢を整えるために、課題がクリアできないスタッフには繰り返し指導します。うちの店は半分が外国人ですが、伝わらなくてもあきらめません。私、しつこいんで(笑)。
(向井 渉=撮影)
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