仕事ができて、上司に可愛がられているあの憎きライバルを引きずり落としたい──。でも、品格を落とすマネはしたくない。そんなあなたにとっておきの技術を伝授!

アイツからあなたへお中元が届く

困ったことに、社長が部下の進言を聞き入れる奥深さと、抜本的改革に取り組む積極性を持ち合わせている場合もあるでしょう。迷惑なことですね。また、ライバルが社長の機嫌を損ねない奥ゆかしさを見せたり、自己啓発本を鵜呑みにせずエッセンスを自分なりに咀嚼し身の糧とするデキるヤツかもしれません。このような不幸な偶然が重なると、ライバルの提案は上層部に受け入れられ、彼は社内評価を高め、一目置かれ、さらに悪いことに何か重要な仕事なりポストなりを与えられるかもしれません。

ですが、まだ慌てる必要はありません。次にあなたがすべきことはライバルに転職を勧めることです。そもそもあなたの会社はあなたのような卑劣漢が就業しているのですから大した会社でないことは明白です。実績をつくり評価を高めたライバルが、今のクソのような環境からさらに上を目指そうと考えても何ら不思議はありません。

写真=amanaimages

例によってあなたは「おまえはこんなところで終わる器じゃない」「おまえならできる。目指そうぜ。この業界のトップを……」などと調子のいいことを言って彼を焚き付け、知り合いのヘッドハンターを紹介するなどして転職を手伝いましょう。そのためには日頃から信頼できるヘッドハンターと関係を構築しておくのが大切ですね。……エッ? そのヘッドハンターに自分がヘッドハンティングされたらどうしよう、って? 大丈夫です、あなたのような卑劣漢にお声が掛かることなどありえません。

と、このようなステップを踏むことにより、あなたは安全確実に厄介なライバルを排除することができるのです。一言でまとめるなら、出る杭は打たれる、ということですね。ことさらに悪評を広めずとも、ライバルがその高い能力に見合った実力を周囲へ遠慮することなく発揮するだけで、周りは十分に彼をうざがり遠ざけるのです。万一、何かの間違いで彼の行動が成功したとしても、彼には次のステージへと旅立ってもらえばいいのです。

なお、あなたに関しては、傍から見れば、ライバルの革新的行為を応援し励まし、予め上司へ根回しをし、また、転職の際には相談に乗って世話を焼いているだけなので全く嫌われる要素がありません。転職したライバルからお中元が届くかもしれませんね。

作家 架神恭介
1980年生まれ。広島県出身。早稲田大学第一文学部卒。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で小説家デビュー。『完全覇道マニュアルはじめてのマキャベリズム』『よいこの君主論』など著書多数。