仕事ができて、上司に可愛がられているあの憎きライバルを引きずり落としたい──。でも、品格を落とすマネはしたくない。そんなあなたにとっておきの技術を伝授!

一歩進んだ、より効果的な讒言にトライしましょう。「ライバルが非常に効率的で役に立つ、従来の方法を一新するアイデアを持っている」と社長に告げるのです。

上司に嫌われる人間とはどのような人間でしょうか? そう、正論を述べ、常に正しく、結果を出す部下ですね。もちろん無能だとか怠惰だとか、ほかにも嫌われる理由は多くありますが、あなたが蹴落としたいライバルは有能なはずですから(無能なら蹴落とすまでもありませんね?)、これらには当てはまりません。しかし、有能で正しいヤツはそれだけで煙たいものなのです。会社というものは、必ず非効率な業務システムを持っているものです。

作家 架神恭介氏

歴史のある大企業であればいくつものレガシーシステムのつぎはぎで動いているのが普通であり、新しい小さな会社では未整備のルールがあり、新興の大企業では部門間の連携に問題を抱えています。有能なライバルはそれらの非効率性についてすぐに気付き、日頃から問題意識を抱いているに違いありません。それらに対する抜本的解決案などをFacebookなり酒の席なりで迂闊にも漏らしていたならチャンスです。それを上司が知ったなら、それがどれほど正しく、非の打ちどころのないアイデアであろうとライバルは必ず遠ざけられることになるでしょう。そのような人間を社長が好むはずがないからです。

というのは、社長という人種は一般的に言って嫉妬深く、自分より優秀なヤツは総じて嫌いです。またシステムが非効率的であろうと、それは彼が一度は決めたことですから、「おれの言うことが聞けないのか」との思いを抱くことでしょう。社長は自分が会社を回しているという自覚を他の何よりも優先するため「ちゃんと言うことを聞く部下」が大好きです。「言うことは聞かないが結果を出す」ライバルのような人間よりも、「言うことを聞くが結果は出せない」部下のほうを必ず可愛がります。

そういった社員に対して社長は、慈愛に溢れた眼差しを向けて、「**くんは確かに結果を出せなかった。しかし、わしは結果よりも彼の努力こそを評価したいのだ」と言うのです。なお、「言うことを聞かないヤツ」が結果を出せなかった場合、社長が彼の努力や過程を評価することは断じてありえません。