M&A先進国のアメリカでは、経営統合の果実を生み出すまでの手順をPMI=ポストM&Aと呼んで重視する。狭い意味のM&Aは、合併や買収の成立という節目の一時点を意味するが、本来のM&Aとは、その前後を含めた、ダイナミックな企業の統合過程そのもの。つまりPMIこそ、M&Aの真髄であり、そこには一般の事業会社に応用できる手法も多く含まれる。それらのなかから、経営者、そして売上げアップを考えるリーダーためのエッセンスをご紹介しよう。

KPI(重要業績評価指数)を設定する

世界トップクラスのファンドであるリバーサイドは、M&Aにおいて「デューデリジェンス」「ファーストビジット(日本でいう「トップ面談」)」「100日プラン」の3つをたいへん重要視していることについては、「M&Aを成功させる『100日プラン』とは?」(http://president.jp/articles/-/15497)でご紹介しました。

戦略を策定し、年間の事業計画を立てるうえでも、この100日の「リズム」を、彼らは大切にしています。90日~100日の単位で大きなリズムをつくっていくことで、プロセスと進捗のイメージがつかみやすくなるからです。

リズム感で進捗のイメージをつかんだら、次にKPI(重要業績評価指標 Key Performance Indicators)についても検討します。KPIの設定については、私自身の経験からも、その重要性を実感しているところです。

どのようなKPIを設定するかは、業種や事業の内容、職種によって個々に変わってきますが、以下、当社の例で説明しましょう。

『M&Aを成功に導くPMI』事例に学ぶ経営統合のマネジメント(プレジデント社刊)

たとえば、「年次計画での売上げ目標を20億円」とします。そうすると、4半期ごとに5億円を売り上げればよいことになります。

では、9月の第2クオーターが終わった段階で、12億円の売上げがあったとしましょう。

はたして、これは評価されるでしょうか。

年間の売上げ目標は20億円ですから、半年で10億円を達成すればよいと考えれば、すでに2億円多く稼いでいることになります。

したがって、次のような考え方ができます。

半期10億円という予算に対して12億円だから、120%の目標達成率!