学歴やTOEICスコアも低くはないのに、なぜ、英語を話せないのか。多くのビジネスパーソンに共通する悩みだが、安河内先生はビジネスパーソンの弱点をするどく指摘する。
鉄則1
ネイティブみたいな英語をしゃべろうとするな!
「英語教育レベルも高いのにしゃべれない。それは、マインドセット、目標、それから勉強法の3つがズレているからです。ネイティブみたいに話したいと思うことが最初のズレです。現在、世界で英語を話す人のうちのノン・ネイティブの比率は5割を超えます。日本人が目指すのはノン・ネイティブの人たちが使う世界英語でいい。もちろんネイティブの発音を真似ることも大事です。けれどそれは発話モデルとして参考にするだけで十分。ネイティブになりたいという無茶なマインドコントロールを解いて、世界英語を目標にする。それだけで、道は一気に開けてきます」
では、具体的にどういうアプローチで英語の学習に入るか。やはり基礎的な文法だけは整理すべきなのか?
鉄則2
間違えることを楽しめ!
「文法は大切ですが、細かいことにこだわらないように。私自身、30年英語をやってきて、三人称単数現在形の「S」を、いまだに間違える。もうあきらめました(笑)。けれど、アメリカ人から、今の「S」付いてないよと指摘されたこともありません。アメリカ人自身もわりといい加減だし、彼らはそもそもせっかちだから、細かいことより先を知りたがる。だから、日本人としては間違って笑われることを気にせず、むしろ、アイツちょっと変な英語を喋るなと思われたほうが得。使い、間違え、直す。これ以外の方法で英語を話せるようになった人はいないのです」
さて、ここからは実際に話す局面のアドバイスに入っていく。間違えることを楽しむ心構えの次に大切なのは何か。答えは意外なほど単純だ。
鉄則3
ジャパニーズ・イングリッシュに自信を持て!
「日本語は世界的にみて、非常に難しい言語だと思います。日本人は、漢字、ひらがな、カタカナを使い分けながら、高度なレベルの読み書きができる。そのうえ、ビジネスパーソンのみなさんは日頃の仕事も立派に実践していらっしゃる。そこに加えて完璧な英語を求めるよりは、今話せるレベルの、いわゆるジャパニーズ・イングリッシュに自信を持って話すべきです。世界中の教養ある人は、その英語を聞いて、あなたの英語はおかしい、などとは言いません。日本人の英語は語彙も平易でスピードも遅く、実直でわかりやすい。それは世界のノン・ネイティブたちに歓迎されると覚えておいてください」
しかしながら、乗り越えなければならない、日本人特有の気性もあるようだ。これは、多くの人に共通の部分だろう。