過去の失敗を取り戻したい気持ちにつけ入る

失敗しない人など、この世にはいない。

仕事や人間関係において「ああすればよかった」という後悔の思いを誰もが持っているに違いない。特に、お金にまつわる失敗は、より大きな後悔の念を残しがちである。

詐欺や悪質業者はそこへつけ込んでくる。

近年、原野商法の被害者らが再び狙われている。原野商法とは、ほとんど価値のない土地を「必ず値上がりするから」と嘘の説明をされて、時価よりも高い金額で購入させられるものだ。特に、土地の値段が上がっていた1980年代のバブル期に、被害に遭った人が多く、詐欺業者らはこれらの被害者名簿を手に入れて、電話をかける。

数十年前に北海道の土地を購入した高齢女性のもとに、近頃になって突然、業者から「海外の人が、あなたの所有地を欲しがっています」という電話がかかってきた。女性が業者の話を聞くと、「所有地を売却するためには、まずその土地の調査が必要になります」と言われた。そこで、その費用として30万円を払ってしまっている。こうした相談が、全国の消費者センターに数多く寄せられている。

この「原野2次商法」では、過去に高額で土地を買ったものの、それを処分できずに困っている気持ちにつけいり、「あなたの土地が、水資源やリゾート地として外国人が必要としています」と囁きかける。そして、土地の売却のためには「まず、土地の測量や整地が必要になります」「外国のサイトで宣伝します」などと言い、その費用をせしめるのだ。なかには、土地の買い手がいることを信じさせるために、「買付証明書」なる書類を渡して、信ぴょう性を持たせることもある。

被害者の多くは、所有地から遠い場所に住んでいるため、おいそれとは現地に赴けない。そのため、どうしても業者に、調査などを任せなければならない事情もあるが、それにしても、なぜ、このような眉唾な話に多くの人が簡単に乗ってしまうのだろうか。