上場企業のうち約180社、総数300人余の取締役や執行役員が1億円以上の報酬を得ていたことが個別開示で明らかになった。少人数化で狭き門となりつつある役員の報酬の実態を検証する。

2010年3~6月期決算の上場企業のうちおおよそ180社、総数では300人あまりの取締役や執行役員が、年間1億円以上の報酬を得ていたことが判明した。2億円以上に限れば50人超。個々の顔ぶれや傾向を見ていくことで、経営陣の懐の実態に迫ってみよう。

「1億円以上」社長・役員
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「1億円以上」社長・役員

報酬1億円以上の個別開示で明らかになったのは、外国人取締役・執行役員の厚遇。その象徴が、日産自動車のカルロス・ゴーン社長だ。9億円弱の全額が、基本報酬によるもの。2010年度以降業績が回復し賞与や業績連動型報酬ともいえる自社株の付与もあれば、軽く10億円を超す水準だ。ゴーン氏が同時に会長兼最高経営責任者を務めている仏ルノーから得ている固定報酬は、120万ユーロ(112円換算で約1億3400万円)。

2位にもソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長がランクイン。ストックオプションを含めて8億円台前半だった。

武田薬品工業では、アラン・マッケンジー前取締役が、長谷川閑史社長の2倍以上の5億円台。日本板硝子も、退任したスチュアート・チェンバース社長兼CEOを含めて1億円以上の外国人経営陣が3人で、2人にとどまった日本人経営陣を人数、金額で上回っていた。資生堂でも外国人取締役が日本人社長を上回る報酬。京セラでただひとり1億円以上だったのは、米国子会社の経営トップ。1億円以上の経営陣がいなかった中外製薬も、4人の外国人経営陣は、親会社であるスイスのロシュから平均で8億円に近い報酬を得ていることを明らかに。

東北新社の植村伴次郎最高顧問や双葉電子工業の細矢礼二最高顧問など、高額な役員退職慰労金の支給も特徴のひとつ。また、植村氏と細矢氏の両氏がそうであるように、創業家出身者やそれに準じる経営陣の高額報酬も目立った。セガサミーホールディングス(HD)の里見治氏、コナミの上月景正氏、AOKIHDの青木拡憲氏、ドン・キホーテの安田隆夫氏らが代表格だ。

経営トップとして長期間、会社を率いていることで高額な報酬を得たと推定されるのは、大日本印刷の北島義俊社長や信越化学工業の金川千尋会長などである。