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電気料金が決まる仕組みとは

関西電力など大手電力8社は4月分の家庭用電気料金を値下げする見通し。急激な原油安によって火力発電に使う燃料費が下がったことを反映させるためだ。これは燃料価格の変動に応じて、毎月自動的に電気料金を調整する燃料費調整制度に基づく値下げである。

一方で、関西電力は4月から電気料金を再値上げする申請を行っている 。昨年12月、家庭用で10.23%と産業用で13.93%の値上げの認可を経済産業省に申請。理由は、原子力発電所の稼働ゼロからくるLNGや石炭、石油などの火力発電用燃料費の膨らみだ。誤解しがちだが、この膨らみは燃料費調整制度ではカバーできない。燃料費調整制度はあくまで、料金改定時に前提とした火力燃料の消費数量に対応する燃料価格の変動影響を料金に反映する制度である。これに対して、関西電力の申請は、計画していた原子力が稼働しないことにより、料金改定時に前提とした火力燃料の消費数量を超過することにともなう火力発電燃料費の膨らみに対応するものだ。

そもそも、いまの料金は、大飯原発3、4号機は稼働、高浜原発3、4号機も13年7月からの再稼働前提の電源構成で13~15年度を原価算定期間として決まったものだ。しかし現在、いずれも停止したままで、関電が見込んだ収益構造は根底から崩れている。その結果、13年度については約1200億円の赤字。14年度も約1700億円に赤字が拡大する見通しだという。

電気料金の仕組みについて、電気事業連合会に尋ねると、「原価主義の考え方に基づき、電力各社の電気料金は、総括原価方式で設定されます。すなわち、能率的な経営の下における必要な原価に適正な事業報酬を加えて算定されます。その総コストのなかで最も大きいのが、発電をするための燃料費なのです」と説明する。

ちなみに、関西電力の値上げ申請中の総コストは、約3兆円。その内訳を見ると、燃料費(購入電力料を含む)が53%を占める。いまや、日本の全発電量(9397億kWh)の88%を火力発電が賄っている。国内の電力需要がほぼこのままで、なおかつ原発が停止を続ける限り、原発を持たない沖縄電力以外の9社については、このコスト構造は変わらない。

「もちろん、各社とも原発再稼働に向け取り組んでいます。けれども、計画どおりの電源構成にならないと、火力発電の燃料費分だけ、収益はさらに下振れする。電力各社はその分を補うために、電源構成変分認可制度に基づいて値上げ申請できます。これは、認可を受けている電気料金の原価算定期間内において、経営努力だけではカバーできない電源構成の乖離があった場合、その分のコストを利用者に転嫁することが認められるものです」

この制度によって、北海道電力は昨年11月1日に再値上げをし、関西電力も認可申請に踏み切ったわけだ。ここで注意しなければいけないのは、現行の、また近い将来の電気料金には、再稼働をめざす原発の発電コストは既に織り込まれているということだ。つまり、その分の火力発電の燃料費は、新しい電気料金にも未だ反映されていないので、実際に再稼働しないと、電力会社の収支は構造的に悪化する。おそらく、多くの人が「少しでも原発が動けば、電気料金は安くなる」と思っているかもしれないが、原価に織り込んだ程度の原発が稼働しただけでは、ようやく電力会社の収支が一致するだけであり、電気料金は下がりにくいということになる。

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